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日本語の医学用語II・注釋I

日本語では「行灯(=行燈)」を「アンドン」an-don と読む。
また、「行脚」は「アンギャ」an-gya である。

普通、日本語の音読みでは「行」は「(ギャウ>)ギョウ」または「(カウ>)コウ」と読む。
現代中国の北京音で「行」は hang2 と xing2 の2種類である。
「ギャウ」gyau と「カウ」kau は「行」hang2 の古代音が日本語に入って訛ったものである。

「灯」(または「燈」)deng1 の場合、日本語音は「トウ」tou である。
「行灯」が「アンドン」an-don になるということは、「灯」が「ドン」don と読まれていることになる。
これも森町時代以降の「唐音」である。

「脚」の音読みは「キャク」kyaku であるが、これは古代シナ語で *kiak のような音だったと推定できる。
現在の北京語音 jiao3 [tɕiau] は語頭の ki が tɕi に口蓋化し、語末の k が母音化した結果である。

今の北京語で「行脚」は xing2-jiao3 である。
しかし、「アンギャ」のもとになったのは *hang-giao のような發音だったと思われる。
「行」xing2 については hang が *hiang や *hieng、*hing を経由して xing になったのだろう。

なお、北京語の「行」の読みには hang2、heng2、xing3 の2種がある。
「行」xing3 の h 口蓋化で「流行」liu2xing2 が「流星」liu2xing1 と似た發音になった。

朝鮮語では「行」は haeng であり、「銀行」は eun-haeng である。

日本では「北京」が「ペキン」、「上海」が「シャンハイ」、「廣東」が「カントン」である。
これらは Peking(Bei3jing1)、Shang4hai3、Canton(Guang3dong1)の ng を「ン」にした例である。

「北京の劇」が「京劇(キャウゲキ>キョウゲキ)」。
「廣州」は「クワウシウ(>コウシュウ)」である。
ちなみに「杭州」Hang2zhou1 は「カウシウ」である。JALは杭州から撤退を決めたが、以前の廣告で「ハンチョウ」という表記もあった。

さらの「香港」が「ホンコン」である。Hong Kong の ng が「ン」になっている。
「香港」は北京語で Xiang1-gang3 だが廣東語で Höng Gong である。
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