2009年10月5日、朝日新聞投書欄「中国の地名や人名は漢字で」

 

最近の朝日新聞の投書欄で「中国の地名は漢字で書いてほしい」という声があった。
2009年10月5日、朝日新聞の読者投書欄である。
この48歳の投稿者は、自分のむすめの中学の地理で使う教科書を観たらしい。
中国の地名に漢字表記がなく、今の北京語音を模したカタカナ表記だけだったらしい
例えば、「大連」が「ターリエン」、「天津」が「ティエンチン」だそうだ。
この投稿者の意見では、「コワンチョウ」というカタカナを日本人が読んでも、これが「広州(=廣州、广州)」であることを中国人は理解できないだろうとのこと。

 

確かにそのとおりだ。
「大連」は Da4lian2 であり [ta:liεn] と解釋していいが、これを正確に發音するには声調を正確にして、最後の n で舌先を上の歯茎につける必要がある。
日本人が「ターリエン」と發音しても中国人にはまず聴き取れないであろう。
「廣州」についても、Guang3zhou1 が正確な發音であり、日本人が「コワンチョウ」などと發音しても、おそらくは声調は原音と違うし、ng や zh の發音がうまくいくとは想えない。

 

中華料理名で「ホイコーロー(回鍋肉)」だの「ショーロンポー(小籠包)」などのカタカナ表記があるのを観ると、一体、どういう發音をもとにしたのか疑問に想えてくる。
ただ、漢字で書いても廣州は大陸で「广州」であり、「広州」だとやはり、中国人は理解しづらいと想う。

 

ちなみに、帝国書院の1994年版の『TVのそばに一冊ワールドアトラス』では、9~10ページの見開きのところで、「ホーペイ(河北省)」「チーリン(吉林省)」「チョーチャン(浙江省)」「アンホイ(安徽省)」「フーチエン(福建省)」「コワントン(広東省)」、さらに都市名で「チャンチュン(長春)」「ターリエン(大連)」「テンチン(天津)」「コワンチョウ(広州)」とある。
また「シャンシー(山西省)」と「シャンシー(陝西省)」もあり、陝西省の場合には、カタカナの「シェンシー」の下にまたカッコがあって「(シェンシー)」となっている。つまり陝西省の場合は「シャンシー(シェンシー)(陝西省)」というようにカッコが2つになっている。
これらのカタカナ表記を使って何の意味があるのか、よくわからない。

 

Sakazaki Motohiko 坂﨑基彦さんのツイート

帝国書院の高等地図帳を買ったら、今や朝鮮半島や中国の地名は現地発音のカタカナ表記が原則らしいのだが、そのカタカナ発音では現地では通じないし、かといって漢字表記も知らないと実生活で困るしで、これ漢字で習った僕らの頃より地理選択者の負担でかくなってると思う

23:12 - 2018年7月31日

 

2009年(平成21年)10月5日付朝日新聞投書欄。当時48歳の会社員の人が娘さんの中学地理の教科書を見たら中国の地名が漢字でなくカタカナ表記で、大連が「ターリエン」、天津が「ティエンチン」になっていて、大きな違和感があったとのこと。この会社員はこの投書で「中学生が『ターリエン』『ティエンチン』というカタカナ表記見て、これらがアカシアの「大連」や天津甘栗の「天津」だと理解できるだろうか」という趣旨の疑問を呈した。

9:12 - 2020年1月24日〕〔9:20 - 2020年1月24日

 

この人は「現地の発音に忠実に、という配慮なのでしょう。しかしカタカナ表記のとおりコワンチョウと発音して、広州のことだとわかる中国人がいるとは思えません」と書いている。同感だが「コーシュー」だともっと面倒になる。この人は「現地の発音に忠実に、という配慮なのでしょう。しかしカタカナ表記のとおりコワンチョウと発音して、広州のことだとわかる中国人がいるとは思えません」と書いている。同感だが「コーシュー」だともっと面倒になる。

9:28 - 2020年1月24日〕〔9:28 - 2020年1月24日

 

この投稿者(2009年当時)によると地名の問題は北京の日本人学校でも話題になっていたらしい。 「広州」に関しては「廣州」または「广州」なら中国で通用するが、「広州」という表記は日本だけので、他の漢字圏で通用しないという表記上の問題もある。 〔

この投稿者は「中国では今でも日本の地名や人名は感じで表記、中国語の発音で読むことが主流です。日本も漢字で表記、日本語読みでよいのではないでしょうか」と書いている。要するに「相互主義」である。

 

この投稿者(2009年10月5日付、朝日新聞「声」欄)は「新聞や歴史書など日本社会では、今も漢字表記が主流です。教科書だけが中国で通じないカタカナ表記を行なうことは百害あって一利なし、と思わざるをえません」と結んでいる。

 

今、話題の )の例で言うと、日本社会では普通、「武漢」は漢字で書かかれ、「ぶかん」と読まれる。教科書だけがカタカナ表記の「ウーハン」を掲載しても中国では通用しない。つまり「ウーハン」は日本国内で役に立たないだけでなく中国人にも通じないから意味がないという結論になる。

9:54 - 2020年1月24日

 

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関連語句

参照
Y!Blog>中国の地名のカタカナ表記 

└→AmebaBlog>〔中国の地名のカタカナ表記

2010-06-16 04:34:52

 

LivedoorBlog>〔漢字論原点回帰・補足〕>検索〔地名

(下書き、非公開)

中国の地名

2018-03-21 13:20:23

 

地図帳「福建(フーチエン)省」「広東(コワントン)省」「潮州(チャオチョウ)」「広州(コワンチョウ)」

2015-03-25 11:12:37


2009年10月5日、朝日新聞の読者投書欄「中国の地名や人名は漢字で」+地図帳の中国の地名のカタカナ表記
2015-01-18 01:39:11