80.長からむ 心も知らず 黒髪の 乱れて今朝は ものをこそ思へ
待賢門院堀河(たいけんもんゐんのほりかは)

●も  mo
●の  no
●を  wo
●こ  ko
●そお soo ←母音連続
●も  mo
●へ  he

現代風に發音すると「モノオコソオモエ」monookosoomoe で、二重母音を1音とすれば5音になる。
ただ、「ものを」monowo や「思へ」omohe は歴史的假名遣いから考えると、母音と母音の間に子音があったと考えるべきだろう。

85.夜もすがら 物思ふころは 明けやらで 閨(ねや)のひまさへ つれなかりけり
俊惠法師/しゅんゑはふし

●も  mo
●のお noo ←母音連続
●も  moo
●ふ  huo
●こ  ko
●ろ  ro
●は  ho

92.わが袖は 潮干(しほひ)に見えぬ 沖の石の 人こそ知らぬ 乾く間もなし
二条院讃岐/にでうゐんのさぬき

○お  o
○き  ki
○のい noi ←母音連続
○し  si
○の  no

99.人もをし 人も恨めし あぢきなく 世を思ふゆゑに 物思ふ身は

●よ  yo
●をお woo ←母音連続
●も  mo
●ふ  hu
●ゆ  yu
●ゑ  we
●に  ni

ここでは「物思ふ」が5音、したがって「物思ふ身は」が7音になっている。

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2009年3/22

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