漢字の書き分け6

 「明」系列と「朋」系列、「萌」と「萠」
 「明」míngを音符とする形声文字では「萌」méngと「盟」méngが有名だが、母音が変化している。
 「朋」péngは「友」yŏuと並んで日本語で「とも」という訓があてられ、漢語では「朋友」péngyŏuという熟語になる。「朋」は、形声文字が多く、「崩」bēng、「繃」bēng、bĕng、「棚」péng、「堋」péng、「鵬」péng、「硼」péngなど、多様である。日本では、字によっては「朋」の横棒が斜めになって左右の縱棒から離れているように見える場合があるが、それは字体より書体程度の、無視していい違いで、フォントを変えれば切り替わる場合もある。
 草かんむりに「朋」を書いた「萠」は電脳網で検索すると、「萌」と混同したか、méngという音が記載されており、また、人名でPānだと記載してあるページもあるが、いずれにしろ、「萠」は手持ちの『新華字典』にも載っていない。
 日本の人名などで「明(あき)」と「朋(とも)」を区別しないといけないが、「萌芽」méngyáが日本語で「ほうが」という音になるのは、「萌」の「明」を「朋」と混同した結果ではなかろうか。
 中国式の網頁では「萠」の字体が自動的に「草かんむり+朋」になる。

 「両棲類」と「両生類」
 「魚類」yúlèiは大陸で「魚雷」yúléiと声調のみの区別。「兩棲類(兩と雨を間違えないように)」は中国大陸の簡体字で「两栖类」liăngqīlèiになっている。日本では「兩棲類」の「棲」が「生」と同じ「せい」なので、「両生類」にしているが、「棲」qīと「生」shēngでは違いが大きい。「爬虫類(爬行動物)」の「爬」páは「巴」bāが音符で、「哺乳類」の「哺」bŭは「捕」bŭや「浦」pŭと同様、「甫」fŭを音符とし、別に難しい漢字ではない。「は虫類」や「ほ乳類」では、かえって意味がわかりづらい。

 「生」「性」「姓」――「星」「腥」「猩」
 「生」shēngの巻舌音は「性」xìngや「姓」xìngでは舌面音になる。「姓名」xìngmíngは別として、「生命」shēngmìngと「性命」xìngmìngは發音がちがうものの、おおよそ、意味は同じである。「星」xīngは「晶」jīngと「生」で、どちらを音符と解釋してもいい。「青」qīngの上側を「生」と解釋すると「星雲」と「青雲」は「星」と「青」で「生」から派生した漢字同士の違いになる。動物名で「猩猩」xīngxīngもある。「腥」xīngは「肉+星」で「なまぐさい」という意味だが、日本ではこれを「天体の月+星」として人名に使う人もいるらしい。
└→漢字の書き分け8

前後一覧
2009年3/4 3/18

関連語句
漢字の書き分け