小倉百人一首
資料;数研出版『クリアカラー国語便覧』第3版2006年、83~95ページ
番号は『便覧』での掲載順。『便覧』で人名の振り假名は現代假名遣いだが、ここでは歴史的假名遣いにした。

20.わびぬれば 今はた同じ 難波なる みをつくしても 逢はむとぞおもふ
元良親王/もとよししんわう
└→和語と漢語語彙の区別II

●あ   a
●は   ha
●む   mu
●と   to
●ぞお zoo ←母音連続
●も   mo
●ふ   hu
└→77番目の「瀬をはやみ~」(崇徳院、すとくゐん)の末尾「あはむとぞおもふ」も同様で7音。
現代風の読み「あわんとぞおもう」awantozoomou はシナ語や欧州語のような区切りでは5音節になるので、和歌や俳句、川柳の5音の箇所においてもいいくらいだ。

21.いま来(こ)むと 言ひしばかりに 長月(ながつき)の 有明の月を 待ちいでつるかな
素性法師/そせいはふし

●あ   a
●りあ  ria ←母音連続
●け   ke  
●の   no
●つ   tu
●き   ki
●を   wo

「有明(ありあけ)」は31番、坂上是則の歌にも出てくる。

●ま  ma
●ちい tii ←母音連続
●で  de
●つ  tu
●る  ru
●か  ka
●な  na

22.吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を あらしといふらむ
文屋康秀/ふんやのやすひで

●あ  a
●ら  ra
●し  si
●とい toi ←母音連続
●ふ  hu
●ら  ra
●む  mu

「~といふ」toihu は現代口語で「という」[toiu] >「とゆう」[toju:]>「~てゆう」[teju:]、「~ちゅう」[t∫u:] に崩れ、3拍から2拍に、そして1音節に近づきつつある。

23.月見れば 千々(ちぢ)に物こそ かなしけれ わが身一つの 秋にはあらねど
大江千里/おほえのちさと

●あ  a
●き  ki
●に  ni
●はあ haa ←母音連続
●ら  ra
●ね  ne
●ど  do

24.このたびは ぬさもとりあへず 手向山(やむけやま) 紅葉(もみぢ)の錦 神のまにまに
菅家(菅原道真)/かんけ(すがはらのみちざね)
「菅」は慣用音で「くわん」。「官」guān(日本語音「くわん」)が音符のはずだが、語頭の圓唇が崩れて jiān になっている。

●ぬ  nu
●さ  sa
●も  mo
●と  to
●りあ ria ←母音連続
●へ  he
●ず  zu

前後一覧
2009年3/8前後 3/8 3/9

関連語句
字余り


参照
2009年3月5日~27日