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 △は問題のある書き方。
●「地」(中)dì ←→(日)「ち」(地図、大地)、「ぢ」(地面、地主)→現代かなづかい「じ」△
●「圖」(中)tú(「图」)←→(日)「と」(図書、意図)、「づ」(図鑑、地図)→〃「ず」△
●「治」(中)zhì ←→(日)「ち」(治安、治療)、「ぢ」(明治、政治)→〃「じ」△
●「通」(中)tōng ←→(日)「つう」(通行、流通)、「づう」(融通)→〃「ずう」△
●「豆」(中)dòu ←→(日)「とう」(豆腐、納豆)、「づ」(大豆、伊豆)→〃「ず」△
●「頭」(中)tóu(「头」)←→(日)「とう」(頭部、冒頭)、「づ」(頭蓋骨、頭脳)→〃「ず」△
●「中」(中)zhōng ←→(日)「ちゅう」(中国、地中)、「ぢゅう」(世界中、日本中)→〃「じゅう」△
●「重」(中)chóng、zhòng ←→(日)「ちょう」(重複、偏重)、「ぢゅう」(重量、多重)→〃「じゅう」△
●「直」(中)zhí ←→(日)「ちょく」(直接、率直)、「ぢき」(直筆、直傳)→〃「じき」△
 日本語音が問題なので、中国音は代表的なものだけに絞った。

 拼音のdは厳密には[t]であり、拼音でch、zhである子音も、發音上、巻舌の[t]で始まっている(ただし、「我的」
wŏdeのdや「看着」kànzheのzhのように、無気音は軽声で有声化する)。
 中国音で[t]で始まるものは、日本語音でもタ行とダ行で始まるものが多いが、日本の現代かなづかいでは、「地」や「治」などの「ぢ」を「じ」に、「図」や「頭」などの「づ」を「ず」にしてしまった。また、北京音で破擦音であるものは、日本語音で摩擦化しているものもある。「植」は北京語で「直」と同音のzhíだが、日本語音で「植物」の「植」は「しょく」syokuである。北京音で重量の「重」と同音の「衆」zhòngも日本語で「しゅう」syuuになる。また、「地震」が「ぢしん」である一方で、「自身」、「自信」、「磁針」、「時針」は「じしん」である。

 インドの別名「天竺(てんぢく)」は現代北京語でTiānzhúである。これは昔のペルシャでインドをThendhuのように呼んでいたものがシナ語に入ったものらしい。「竺」zhúは「竹」と同音で、日本語の「天竺」も本来は「てんぢく」
Tendikuであるが、現代かなづかいで「てんじく」Tenzikuになった。
 現代中国ではインドを「印度」Yìndùであらわし、日本でも使われている。「天竺」は『西遊記』で盛んに出てくるが、平凡社『大百科事典』によると、当の玄奘自身も最終的には「天竺」より「印度」のほうがふさわしいと考えたらしい。「ヒンドゥー教(Hindu)」も今の中国では「印度教(Yìndù-jiào)」である。日本でこれを「ヒンズー教」などと書いてあるのを見かける。

●「徐」(中)xú ←→(日)「じょ」、 「除」(中)chú ←→(日)「ぢょ」
●「如」(中)rú ←→(日)「じょ」、 「女」(中)nüˇ ←→(日)「ぢょ」

 「じょ」であるものは中国音で舌先が上歯茎に近づくだけでついておらず、「ぢょ」で始まるものは舌先が上歯茎附近について始まる。「徐」xúと「除」chúは「余」yúの系列で、「餘」は「余」に置き換えられ、「塗」túは略字で「涂」になっている。「如」rúと「汝」rŭは「女」nüˇの系列で、「奴」nú、「怒」nŭ、「努」nùが日本語音で「ど」になっており、「じょ」zyo―「ぢょ」dyo―「ど」doという関係になっている。北京語で「奴隷」núlìと「努力」nŭlìが声調だけの違いになっている。
 「ぬ」は「奴」の草書で、「ヌ」は「奴」の右側だが、「奴」の音を表しているのは左側の「女」のほうである。

「地理」は「チリ」。
「地面」は「ヂメン」→「ジメン」。
「図書(圖書)」は「トショ」。
「図画(圖畫)」は「ヅグワ」→「ズガ」。
「地図(地圖)」は「チヅ」→「チズ」。
13:03 - 2014年11月9日