2009年1月3日
└→l と r その1l と r その2

英語の r は舌先が上の歯茎につかないが、l だと上につく。
これを中学英語の段階で学んだとき、「では、なぜ日本語のラ行は ra、ri、ru、re、ro なのか」と疑問に想っていた。

沢田研二のバンドが「ココロ」だったとき、COCOLO と書かれていて、これだと納得したものだ。

のちに l が「舌先を上の歯茎につけて下の両側に声を通す音」だとわかった。
だから、これを母語に持たない人が l を単独で聴くと [u][o][i] のような母音に聴こえる。

中学のとき、animal [ænəml] が 「エナモー」[enamo:] に聴こえた。
また、hospital [hɑspətl] が「ハスペロー」[haspero:] に聴こえた。
つまり、語末の tl が tu になり、英語で t が母音間で r になるので tl>ru になる。
尾崎豊が「OH MY LITTLE GIRL」を「オーマイリルガー」と歌っていたのも納得できた。

また、r は舌先を歯茎で何回も叩くのが本来の姿で、ロシア語とアラビア語ではそうである。
欧洲語で一回だけ叩く r もある。そこでスペイン語やポルトガル語を使う宣教師などが日本語のラ行を r と認識したのだろう。
シナ語では「勝利」shengli と「生日」shengri や「日暦」rili のような r と l の違いがある。
しかし、中国人は日本語のラ行を la、li、lu、le、lo と解釋している。

北京語の r は巻舌の先が上につかないもので、音節の最初では摩擦をともなうことが多い。
ロシア人は北京語の r をж、つまり摩擦音の zh にする。
北京語のピンインの zh は半清半濁の巻舌破擦音だから、ロシアではчж(=chzh)という無声破擦音と有声摩擦音の連続になる。
中国山東省の「日照」Rizhaoという市の名はロシアで Zhichzhao と解釋され、Жичжао と書かれる。
Города Китая中华人民共和国城市列表)を観ると中国の地名のロシア語とシナ語による対照がよくわかる。

朱鎔基(Zhu Rongji)の名前はロシアで Chzhu Zhuntszi と解釋され、Чжу Жунцзи と表記される。

このロシア語のж(=zh、有声摩擦音)は Solzhenitsyn の名前にある zh である。
この Solzhenitsyn はシナ語で「索尔仁尼琴」Suo'errenniqin になっており、露語の zh がシナ語では r に相当することがわかる。

また、中国人は英語の usual を “urual”のように發音し、英語の r だけでなく有声口蓋化した s(visual、casual、measure など)もシナ語の r にするようだ。

シナ語で Switzerland>「瑞士」Ruishi、Sweden>「瑞典」Ruidian というのは、r が z 類似音だと解釋するとわかる。

シナ語で l は安定しており、南方で n と混同されるくらいである。
lemon>「檸檬」ningmeng
sina>「新浪」xinlang
「良」liang →「娘」niang

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参照
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