
京王電鉄は2026年1月31日(土)から京王線系統(京王線の新宿~京王八王子、相模原線、高尾線)で新型車両2000系(2代目)が営業運転開始する。
鉄道友の会車両記録研究会並びに東京支部主催行事として、営業運転開始直前の同年1月21日(水)に「試乗会」を開催した。他社(京王以外の鉄道会社。以下同様)でも営業運転開始前の試乗会や撮影会などの行事は不定期に鉄道友の会行事として開かれるが、概ね先方からは「営業運転開始前の段階でSNS(等のネット上)に公開しないように」と言われる。
しかし、今回の京王2000系試乗会ではそのような制限は一切なく、具体的に「いつから公開して良い」と言う”情報解禁日”の指定も無かったので、可能であれば試乗会中にライブ中継して良いと言う解釈も出来た(実際にそう言う者は居なかったが)。1月23日(金)にXを見ていたら今回の鉄道友の会主催行事京王2000系の画像が複数投稿されていた。恐らく鉄道友の会の会員による参加者かと思う。鉄道友の会側としては「鉄道友の会主催行事で乗車した」と言う注意書きを付けてもらえればSNS等への投稿は差し支えないと申し込み時点で案内された。当ブログも「お言葉に甘えて」という事で、営業運転開始前の段階でウラのウラまでわかる範囲で書かせてもらう。但しそれでも「何が何でも公開して良い」と言うわけでは無く、参加者や関係者が写って(映って)いない写真(や動画)に限る。それはそうである。
当ブログでは、試乗会の模様を何処よりも詳しく書いてみた。京王2000系のスペック的な所は私が説明する事でもないので(この辺は各種鉄道雑誌、京王のYouTube動画や公式サイト等、下記Wikipediaのページも参照されたい)そちらに譲る。
京王2000系電車 (2代) - Wikipedia
京王電鉄 新型通勤車両「2000系」試乗会レポート!大きな窓の“ひだまりスペース”を体験してきた – 多摩ポン
「京王2000系(にこちゃん)ってどんな車両なのか?」みたいな視点で書かせてもらう。あくまでも私個人の感想を述べているのであって、京王電鉄や鉄道友の会の公式見解ではない事は最初に断っておかないといけない。「鉄道友の会が何をやっているのか?」についても書かせてもらうが、鉄道友の会側が行ったのは単に人集め、当日の受付作業だけで、受付後の試乗会車両への誘導、試乗会車内での各種案内等は全て京王(先方)の担当者に丸投げだった。鉄道友の会側が受付以外は何もやらないと言うのも珍しいものであった。
日付:2026年1月21日(水)
列車番号:9999列車(恐らく仮の番号)
時刻:若葉台13時50分→つつじヶ丘14時04分~14時07分(折り返し)→橋本14時36分~14時42分(折り返し)→若葉台14時57分
車両:京王2000系(2代目)の2701編成10両
備考:試乗会中のドア扱い無し。車両を撮影する機会も無し。
【京王の基本的な所】
京王電鉄 - Wikipedia
京王電鉄
↑「何をいまさら?!」と思うかもしれないが、個人的には細かい所まで知らないので、とりあえず基本的な所から。これも詳しい所まで述べるとキリがないので、Wikipediaと公式サイトの内容も参照されたい。
「京王」とは「東京の”京”」と「八王子の”王”」の事である。厳密に言うと東京都内は新宿、渋谷を拠点にしているが、現在の京王線に相当する東京~八王子間の鉄道が出来た当時は「東京市」と称していた。よくある頭文字だけ(東京の”東”+八王子の”八”=「東八」)とはならなかった理由を知りたいくらいである。
1910年に今の京王電鉄の前身となる京王電気軌道が設立され、1913年4月15日に笹塚~調布間で鉄道が出来た。以後西に伸ばして1925年3月24日に今の京王八王子まで完成した。つまり東京と八王子を結ぶ鉄道と言う意味である。
1935年2月11日に今の明大前駅で交差していた帝都電鉄(小田急電鉄系列・今の京王井の頭線)と共同使用駅にした上で、少しして連絡運輸も開始した。
第二次世界大戦中にいわゆる「大東急」になって、戦後は東急から分離した上で京王線+井の頭線で1つの会社となった。この際に元々は京王線が京王電気軌道、井の頭線が帝都電鉄だったので、この両方の名前を取り「京王帝都電鉄」(通称は「京王帝都」とか「KTR」とも言う)と称した。この社名を使った時代が長く1998年6月30日まで実に半世紀も使っていて「京王帝都電鉄株式会社」が正式名であった。1998年7月1日以降は”帝都”が外れて「京王電鉄株式会社」が正式名である。その歴史もあってか単に「京王」とは言わず、「京王帝都」と言う鉄道友の会の会員も少なくない(それだけで年齢がバレてしまうが)。なお下記で便宜上「京王帝都」と「京王」に分けているが、1998年6月30日以前の事を述べたい場合は「京王帝都」、1998年7月1日以降の事を述べたい場合は単に「京王」とさせてもらう。
これは余談だが、「帝都」とは「大日本帝国の都」、つまり首都であり、これを通称「帝都」と称していた。昭和年間や平成初期頃までは「帝都〇〇」と名乗る会社名や名称等が多く、鉄道会社では京王帝都以外では、「帝都高速度交通営団」(通称は「営団地下鉄」または単に「営団」。今の東京メトロ)も有名だ。その営団も2004年4月1日にいわゆる”小泉改革”の一環で民営化に至っているので、「生まれてから東京メトロしか知らない」と言う人も多いのかと思う。だが残念ながら鉄道友の会では高齢化が進行しており(その旨は別のブログ記事を参照されたい)、そう言う会員は案外少ない。東京メトロを営団、JR各社を国鉄と言う会員も居るのかもしれないが(実際にそう言う会員には会った事が無いが)、昔の名前が今でも何の断りなく出てくるのは珍しくない。
【車両番号がインフレ化していない京王の電車】

↑7000系(お父さん、お母さん)

↑8000系(けい太くん)

↑9000系(いもうと)
京王線の自社の主力車両は上記3形式である。京王線系統の列車では容易に乗車することが出来る。7000系では2両ワンマンに改造された編成もあるが、京王線では8両の他形式編成の増結用として連結し10両で特急運用に入る事もある。カッコ書きで「お父さん」や「けい太くん」などの名前も書いたが、京王公式のキャラクターとして車両形式毎にキャラクター名が設定されており、「けい太くん」はあまりにも有名だ。
けい太くんのわくわくステーション -けいたくん- | 京王グループ
↑詳細は公式サイトに譲るが、「おじいちゃん」、「おばあちゃん」も居るがこれは6000系で既に引退済み。現在は「京王れーるランド」(多摩動物公園駅前)で余生を過ごしているらしい。井の頭線の車両では編成毎に色違いとなっているが、どうやら7編成(=7兄弟)でそれぞれに名前があるらしい。

↑5000系(2代目・しんごくん)
「京王ライナー」でお馴染みの5000系は「2代目」と言う断りが付く。

↑現在の岳南電車9000形は1994年~2022年までは富士急行1000系と言う時代もあったが、富士急行(2022年4月1日以降は富士山麓電気鉄道)に移籍する以前は京王帝都に所属していた車両で、京王帝都で経年廃車となったので富士急行に移籍してきた経緯を持つ。基本的な種車となったのは京王帝都5000系(初代)である。
京王帝都で活躍していた車両は地方私鉄への移籍が多いのは有名な話だ。京王線は軌間が1,372ミリと特殊な大きさなので、地方移籍の際には台車の履き替えが必須だ。そのため京王線系統の車両が移籍する場合は「車体だけの移籍」が正しい事になる。

↑岳南電車には7000形と言う車両もあるが、これも京王帝都から移籍車で、種車は井の頭線の3000系であった。井の頭線の軌間は1,067ミリなので岳南鉄道(移籍当時)入線に当たっては台車を履き替える必要は無い。”フルスペック型の車両移籍”が可能である。岳南電車に7000形(旧京王帝都3000系)は1997年3月8日から運転開始し、現在も主力車両であるが2027年頃から新しい車両への置き換えが検討されている。京王帝都3000系の地方移籍車は他にも多数あるが、種車は登場から50年以上経過しているので、地方移籍先でもそろそろ経年で引退となりつつある。「京王帝都」を知ったこの機会に改めて地方移籍先で多く乗って(撮って)おきたい次第だと思った。

↑話が多少変わったが、今の京王ライナー5000系(上記車内写真)になる段階で5000系と言う車両があったのだ。だが今の京王ライナーの方が登場する段階(2017年時点)で先代の5000系は全て引退済みだったので、番号は昔使っていた5000系を再度使う事にした。昔の5000系と京王ライナーの5000系を区別するために、昔の方は「初代」や「1代目」、京王ライナーの方は「2代目」として区別している。京王の車両形式は4桁表示が原則である。それが大きな特徴だ。
例えば東武鉄道では、8000系、9000系、10000系、20000系、30000系、50000系、60000系、70000系、80000系、90000系(東上線に時期登場予定)と番号が”インフレ化”している。これは東京メトロ、西武、相鉄、小田急ロマンスカーでも見られるが、要は昔使っていた番号を再度使う事を許すか、許さないかと言う考え方の違いである。京王は前者なので番号が”インフレ化”することは無いが、史実を述べる場合は便宜上「初代」や「2代目」と付ける必要は出てくる。以下、5000系と2000系は2代目(現役車両)の事を示す。
【車両番号の付け方】
乗り鉄としてある程度”度が深く”なると、「どの車両にモーターがあるのか?」、「車両編成がどうなっているのか?」、「運転台の形状がどうなっているのか?」などとなる。乗り心地に直結するのがモーターの有無で、一般にモーターがある車両は走行音がうるさく、逆にモーターが無い車両は走行音が静かである。2010年代以降の新型電車はモーター音そのものが静かになっているので、国鉄形やJR西日本のクモハ223形のように「戦闘機のようなデカい音が車内に響き渡るので話し声すら聴こえない」なんて言う事はほぼ皆無になっている。それでも京王(または京王帝都)の事情は正直よくわからないのでWikipediaで入手した情報として簡単に書いておく。
京王(京王帝都)の車番は4桁表記と言うのは前述の通りだが、数字を分解するとモーターの有無が分かってくる。ここでは7000系の7023と7723を例に説明する。
千の位(7)は形式を示す=7000系である。これが8ならば8000系、9ならば9000系、1ならば1000系、2ならば2000系、5ならば5000系となる。
百の位は車両の用途を示す。0~4は電動車(モーター)ありでJRで言う所のモハの事を言うが、関東民鉄では”デハ”と言うのが一般的で京王も同じである。5~6は付随車の事でモーターが無くJRで言う所のサハの事を言う。7~8は制御車(運転台)でありJRで言う所のクハの事を言う。京王の車両ではほとんどが先頭車両は制御車となっていて、制御電動車(運転台+モーターあり・JRで言う所のクモハ)にはなっていない。つまり7023だと電動車(モーター)あり、7723だと制御車のみ(モーター無し)を示す。モーターの有無を知りたいならば百の位の数字に注目すれば良い事になる。
下2桁(23)については製造番号順に充てられた番号だが、必ずしも1番から始まるわけでは無く、始まりが21番から、31番から(主に新宿方)、71番から、81番から(主に橋本・八王子方)なる事も少なくない。
【1日乗車券で京王全線を乗りつぶす】

↑早朝の新宿駅で東日本旅客鉄道株式会社代表取締役社長スイッピ氏を拝んでおく。2027年~2028年冬シーズン以降は 来年(2027年)春にクビになった以降は新しいキャラクターなのだろうと思いつつも、社長に会えた事が嬉しかった。


↑京王線新宿駅の改札口に出向き、「京王線・井の頭線一日乗車券」(1,000円)を買う。PASMOのICカード乗車券として発行も出来るらしいが、よくある紙タイプとした。単に改札機に入れるだけで改札は通る事が出来て、商品名の通り京王線と井の頭線が全線1日乗り放題である。京王線から都営新宿線に直通する列車も多数運転されているが、新線新宿から京王線方面(初台方面)に対してのみ使える。

↑競馬場線

↑高尾線


↑多摩線(5000系は京王の社員研修用で使用中のため旅客の乗車は出来ない)

↑相模原線では都営地下鉄新宿線から直通の都営10-000系に乗る

↑橋本駅付近の相模原線車窓からはJR東海が大絶賛事業中のリニア中央新幹線の神奈川県駅が見えて来た。今は”大きな穴”だけになっていて、見学広場もあると聞いていたが行ってみると工事中で入る事が出来ず。その部分には写真のような壁画があった。
京王全線を乗りつぶす目的で早朝に新宿駅から西に進んだ所、思った以上に時間がかかった。3~4時間で終わるだろうと思ったらそもそもの考えが甘く、2000系試乗会の集合時間が相模原線若葉台駅に13時20分であったので間に合わない感じにもなった。井の頭線は試乗会終了後に形式的に全区間乗るだけとした。そのためじっくりと駅の現地調査は基本的に出来ず、府中競馬正門前駅、高尾山口駅、多摩動物公園駅は20分程度で折り返すしかなかった。「けい太くん」に会うべく「京王れーるランド」を見学しようと思ったが、水曜日はまさかの定休日であった。
【鉄道友の会主催行事・京王電鉄2000系試乗会の様子】

↑前置きが長くなったがここからが京王2000系試乗会の様子である。若葉台13時22分着の4848レ区間急行本八幡行き(京王クハ9788)で着いた。受付開始は13時20分~13時40分で遅刻厳禁である(輸送障害の場合は除く)。概ねの参加会員は13時20分より前に来ているのだが、早く来た所でも単に待つだけだ。知っているような人が来ていれば世間話でも…となろうが(一応鉄道友の会内部では立場があるポジションに居るとは言え)顔や名前くらいは知っている幹部も多少は居たが面識があるわけでもないし(世間話出来るほど仲が良いわけでもないので)、むしろほぼ全員知らない人だらけである。早く来ただけ待ちぼうけとなるので、早く来ただけ時間の無駄である。輸送障害も発生していないのでギリギリに来ても問題ない。そう言う事もあってか、「生産性向上」とか「タイパ重視」等と称して、時間ギリギリで来るのは個人的にはもはや当たり前になっている(別に時間にルーズだと言いたいわけではない)。


↑若葉台駅構内には検車区(車庫)併設なのだが、お目当ての新型車両2000系はホームから見えない場所に隠れている。主に「けい太くん」か「しんごくん」しかいない。
【「けい太くん」の袋をぶら下げて改札口を通る】

↑改札口付近で受付を行う。受付内容は氏名を名乗った上で、2025年度鉄道友の会会員証+(運転免許証等の身分証明書)+この行事に参加出来る旨を記した案内書(PDFか紙に印刷する)+会費1,000円を支払う。だが身分証明書の提示は求められなかった。会員証で代用したらしい。
鉄道友の会側の受付はテーブルを広げて2人でやっていたが、その隣には”京王氏”(先方の対応者のこと。以下このように記す)が3~4人居た。そこにもテーブルがありそこには大量の「けい太くん」が置かれていた。受付後に京王氏から「けい太くん」をもらう。2000系のグッズ(後術)が入っており、「これ(けい太くん)を参加者の目印にするので改札口を通る時から列車に乗るまではカバンには入れずに持ち歩いてほしい」との事。
若葉台駅の改札口は基本的に自動改札機を通ってもらう事になるが、正面から見て右側には通用口がある。そこには「制服着用の社員と許可を受けた者以外の通行お断り 駅長」とあり、「けい太くん」をぶら下げておけばここを通っても良いと言う意味を示す。但しそれは今回の試乗会のみ特例で、通常時(試乗会終了後以降)は「けい太くん」をぶら下げておいても当然通る事は出来ず、もちろん正規の乗車券類が必要だ。
鉄道友の会の参加者はザックリ見た所は50人前後であった。募集人数は100人であったので実際の所は少ない。それに対して京王氏は20~30人近くも居る事に驚いた。他社の場合は先方氏は少ないと3~4人、多くても10人弱が多いのだが、ブルーリボン賞・ローレル賞関連の行事ではない、一般的な試乗会(撮影会)にもかかわらず京王氏がこんなにも多く居るとは思いもしなかった。
鉄道友の会の会員は定員の割には集まりが悪い。それもそのはずでド平日の開催なのでそうなってしまう。驚いたのが学校が午前中だけの授業だったのか、それとも試乗会のためだけに早退したのか?は不明だが、学ラン姿の参加者もいた。恐らく高校生で高齢化に苦しむ鉄道友の会としては珍しく10代の会員だ。昭和年間の行事写真を見ると高校生は学ラン(制服)で参加する会員も多かったようだが、今では開催日が平日だろうが土日祝日だろうが、学ラン(制服)で参加する若年会員は皆無に等しい。大人になればスーツ(と言うYouTuberも一応会員のはずだが)で来る人が多い事にも恐れ入る。
13時30分過ぎ(私が受付したらスグ)に参加者全員が集まったのか?京王氏が「では車内にご案内します。付いてきてください」と案内が入った。京王氏の後に続いて先ほどの「通用口」を通過する。「けい太くん」が入場券+乗車券を示していた。
【いきなり5号車の「ひだまりスペース」に入る】





↑京王氏に誘導されて若葉台駅4番線に2000系が入線。階段の目の前に来るのが5号車の「ひだまりスペース」であった。2か所だけドアが開いており、ここから乗るように案内される。
5号車の「ひだまりスペース」は2000系の大きなアピールポイントである。新宿方の半分は「おもいやりぞーん」(優先席)の3席を除き座席が無い。
「ひだまりスペース」は大型窓を採用し、たくさんの光が集まる「ひだまり」のような空間を演出した。ご利用のお客さまが心休まる”ひだまり”となる事をイメージしてします。
公式カタログより
とある。想定としては車椅子やベビーカー利用でも乗りやすくしている。2000系では全車両の新宿方の連結付近に車椅子スペース・ベビーカースペースが設置されているが、それとは別に5号車に限り1両の半分を「ひだまりスペース」と称して多くの車椅子やベビーカーも同時利用出来るようにしている。ただそれだけでは単に「立ちスペース」となるほか、かつて東急田園都市線や山手線にあった6ドア車のように”無骨に立たせる車両”となってしまう。座れないし、デザイン的にも工夫が無いので、「乗りたい」とは思わなくなる。そこにも工夫があって、真ん中には腰掛や車椅子・ベビーカーが置けるような場所もある。ここは窓も大きくしており
ひだまりスペースには、お子さまが車窓を眺めやすいよう、床面高さ500ミリの位置から高さ1240ミリ×幅1930ミリの大型窓を設置しました。また、ベビーカーでご乗車のお子さまにも流れる景色を見やすいよう、手すりを配置しています。
公式カタログより
とある。窓を大きくして、低い所に手すりを設ける事により、京王線の車窓を楽しめる工夫をしている。
他社車両(JR北海道737系、西武40000系など)でもそうだが、ロングシート一辺倒とはせず、車両の真ん中や端に大型のフリースペースを設けて、車椅子とベビーカーの乗車を向上させる事、スーツケース等の大型荷物の収容力を向上させる事、ずっと座っているとしんどい所もあるので大型窓スペースに一時的に立ってもらい車窓を眺めながらリラックスしてもらう…と言う目的からこのような所を設置する車両が増えている。
ではどのようなデザインにするか、良い雰囲気をお客に訴求させるのか?は社によりバラバラで、単にフリースペースを設置しただけ(737系)、車両デザインとリンクした内装にした上で端の号車(1号車や10号車)に設置(西武40000系)…と考え方や輸送実態に応じて差異を見せる。
一般にこの手の大型フリースペースは端の号車に設置する事が好ましいのだが、京王はあえてド真ん中の5号車に設置した。これは私の予想だが、京王線の駅を見ると改札口に繋がる階段・エスカレーター・エレベーターはホームの真ん中、つまり5号車近くに来ることが多く、車椅子やベビーカーではホームを長く移動したくない。それならばエスカレーター・エレベーターの真ん前に「ひだまりスペース」が来た方が良くて、それならば編成(10両)の真ん中に持ってきた方が良いと言う答えになる。また通勤客への配慮とか収容力向上も狙いがあるようで、朝や夜ラッシュ時はやはり階段・エスカレーター・エレベーター付近の号車は激しく混雑する。座席が無い車両の方が収容力向上につながるので(立ち客を座席がある車両よりも多く乗せる事が出来るので)、その観点から考えても大型フリースペースは5号車にあるのが最適解となる。すなわち、様々な客層の意向を満たすには5号車にあった方が良いという事になったようだ。
【「けい太くん」の中身】

↑改札口や車内に入る時には「けい太くん」をぶら下げるように案内された。真ん中には「けい太くん」が登場しているが、前後には井の頭線の7兄弟のうち5人(5匹・5両・5種類)が出ているが個別の名前までは書いていない。

↑「けい太くん」の中身がご覧の通り。左からウエットティッシュ、ボールペン、コップ、保冷バッグ、ハンカチ、クリアファイル、公式カタログであった。いずれも非売品である。特に車両スペックを知るためには公式カタログは欠かせないアイテムで、鉄道友の会主催の新型車両試乗会・見学会・撮影会の時には土産として貰える事も多いので、個人的にはこれを貰うために参加している感はある。
なお「けい太くん」は8000系の事を示すが、8000系関連のグッズは一切なく、この日の主役である「にこちゃん」こと2000系のみなのは言うまでもない。
【車内の車番を全車両コンプリート】

↑1号車・クハ2751
↑2号車・デハ2251
↑3号車・デハ2201
↑4号車・サハ2651
↑5号車・サハ2551(ひだまりスペース)
↑6号車・デハ2101
↑7号車・サハ2501
↑8号車・デハ2051
↑9号車・デハ2001
↑10号車・クハ2701
車内を撮影した時にどの号車かわからなくなるので、撮影前に車番を撮影してから始めた。しかし、中途半端に記録した車両とそうではない車両がある中途半端さを嫌った事、車番表示も「にこちゃん」が表記されており、デザイン的にも良かったので、結局全車両コンプリートする事にした。そこまでやった会員は見た限り他に居ないようだった。
【”史上最強の優しい電車”の車内とは】
「史上最強」と言う冠を付ける場合は「※ と比較して」等の根拠になる情報や数字を付けておかないといけない。
だが 京王2000系で言う”史上最強の優しい電車”と言うのは、あくまでも私個人の主観によるものと断っておきたい。根拠となる情報や数字は示せない。数字を示してもカタログスペックのものだけを並べる事になってしまう。 私個人が今まで乗ってきた電車の中では、雰囲気、乗り心地、座り心地、車内での使い勝手と言った「あくまでも個人の感想です」の域である。それらを総合的に評価したのであれば、今までの”ゴツイ電車”(けい太くんのおじいちゃん・お父さん失礼)と比較すれば、とんでもなく乗りやすく、いろんな意味で”優しい”のだ。その辺は皆様実際に乗車して感じてもらいたい。
↑5号車(ひだまりスペース)に居ると人で滞留するだけなので離れた号車へ進む。具体的にどこの号車に集合してほしいとの案内が無いのも鉄道友の会の行事としては珍しい。概ね乗車行事では「最初は〇号車に居るように」と案内されるが、そのような事は一切なく各自が好きなように車内を進む。「1号車まで来れば空くだろう」と思ってとりあえず1号車まで行くとむしろ混雑していた。やはり新車という事もあってか、まずは運転台の記録(撮影)する会員が殺到したのだ。まだ発車前であったが、急いで車内のパーツ(運転席、座席、つり革、ひだまりスペースの細かい所など)を記録しなくても時間は十分あったので、とりあえずは空席に座る。「けい太くん」の中身を確認した上で、1号車の全体の様子を目視しておく。
↑空いた時を見計らい運転台(1号車クハ2751)を見ておく。「お父さん」「けい太くん」と比べれば広い運転席だ。基本的に「けい太くん」や「しんごくん」と同じような形(レイアウト)になっており、計器類はグラスコックピットになっていた。京王では伝統的にT字ワンハンドルマスコン車で、力行4段、制動7段(+非常)に統一されている。なお、列車番号は「9999」となっていた。恐らく仮のものかと思うが、正式な列車番号は不明のため、冒頭で述べたように列車番号は9999レとした。
乗務員の操作性に配慮するため、乗務員へのヒアリングを実施し、配置を検討しました。その結果、スイッチ類は操作の重要度や使用頻度を優先して設計されており、さらに将来の自動運転(ワンマン)を視野に入れた設計としています。
公式カタログより
↑実は意外とレイアウト変更が図られていた。パッと見では「しんごくん」をベースにしているのかと思っていたが、細かい所では変更を加えていたのである。これは京王に限らず他社でも言える事だが、将来のワンマン化、自動運転化に備えて、容易に改造が出来るように最初から作っておく必要がある。中には準備工事扱いで納車される事もある。
試乗会列車でも車掌は当然乗るので、列車監視のため乗務員室のドアは開いていた。少しして車掌が乗ってきたので、まもなく発車である。
↑1号車クハ2751、新宿方の「おもいやりぞーん」(優先席)。前述の通り各車両1ヶ所に車椅子スペースがある。上り(新宿行き)列車を基準に言うと、進行方向左側が車椅子スペースで、右側が3人分の座席となる。
若葉台駅を13時50分に発車。京王氏から案内放送が入り試乗会で運転中は車内を自由に移動して良いと言われた。平均的に1号車や2号車は混み気味だったので、あえて6号車以降に行ってみる。
↑6号車・デハ2101
車内は基本的にロングシートである。モケットデザインは優しさを感じる雰囲気となっている。
↑京王稲田堤~京王多摩川
↑調布には13時58分に到着し運転停車。少しして京王線に入り、14時04分につつじヶ丘(上記写真)に到着。ここでエンド交換する。運転士は10号車(新宿方)の乗務員室から出て来て車内の京王氏10人以上と一緒に1号車(橋本方)に移動する。エンド交換が終了するとつつじヶ丘を発車して、再び調布から相模原線に戻る。
↑8号車の座席で座り心地を体感する。 他社比で「ちょうどいい座り心地」である。柔らかくもなく、固くもない、まさに理想的な座り心地である。どんな鉄道車両でもそうだが座席の良し悪しは全体評価に直結する重要なポイントだ。首都圏の通勤電車ではE231系に代表されるように、固くてクッションが無い事が多い。まるで板の上に座っているかのような感じで、乗り心地も良くない。国鉄末期に登場した車両を中心に座席が柔らかくて、フワフワした座席(205系など)もあったが、それはそれで座り心地が良い所はあるが、フワフワし過ぎるので立ち上がる時に大変だったり、座っていると沈み込みが激しく、何か落ち着かない所があった。
それに対して京王2000系はバランスの取れた座席で大変座り心地が良い。どうしても座面だけに注目してしまいがちだが、 肩幅もしっかり確保されているし、腰や背中の部分(腰掛)についても近年の通勤型電車では珍しくホールド感がしっかりとある。そして モケットデザインは「優しい」を強調するかのようなもので、派手でも地味でもないが、安心感を与える温かみのある雰囲気が伝わるもので、大変満足である。
↑つり革は高低差を付けている。これはJR東海315系と同じ。身長が高い人、身長が低い人、様々な体格をした旅客が乗るので、特に身長が低い人が腕を伸ばしてもつり革に手が届かない事はあり得る。昔は統一的な高さが当たり前で、つり革の高さなんて問題にさえならなかったが、健常者・障がい者を含めて、誰もが使いやすくするには一部のつり革の高さを低く設定しておいた方が好ましい。立ってつり革につかまって乗車する場合であっても「優しい電車」という事がわかる。
↑各ドアには2枚の液晶画面が付いている。左側は宣伝広告、右側は駅名や路線図の表示だが試乗会のため「KEIO」のロゴ入りだけだった。これも試乗会ならではの姿だ。車内案内表示器は三菱電機製でイーサネット伝送対応となっている。
↑防犯カメラも搭載されている。2021年10月31日に調布→国領間を走行中の新宿行き特急0082レの車内において刺傷事件が起きた。その当時全車両に防犯カメラは設置されていなかったが、事態を重く見た京王は2023年度までに全車両に設置を完了させた。編成の貫通化にも取り組み、7000系のように8両+2両のような運用を取り止めると決めた(実際の実施は2026年度以降とされる)。京王線の特急は10両運転が多いが、他編成を併結せずに10両貫通編成で運転を前提にすると言う。車内だけではなく駅構内にも防犯カメラはしっかりと設置されており、旅客が起こす事件事故対策の予防と言う意味での安全面でのアピールを車内や駅頭で展開していた。
2000系では新造時から防犯カメラは標準搭載で、天井周りを見ているとどこに防犯カメラがあるのかスグにわかる。JR東日本のE233系ように照明器具の付け根の辺りに小さく仕込んでおくか、ドア上の車内案内表示器の付近に設置しておく事が多い。つまり分かりにくい所に設置してある事がほとんどだ。車両構造にもよるが、あからさまに防犯カメラと分かるように設置するのも他社比としては珍しい。防犯カメラはMOYAI製で、リアルタイム通信機能付き(輸送指令や乗務員室で映像を即座に確認出来る)で各車両に4台ある。
↑防犯関連の装置と言えば、非常通話装置も標準設置である。これを押せば乗務員(または輸送指令)と直接やり取りが出来る。京王の場合はどうなっているか不明だが、JRのこの手の装置の場合は通報ボタンを押しただけで列車が急停車する仕組みになっている。八幡電機産業製で各車両に2か所ある。
↑低い所から車内全体を写す。これは営業列車で撮影するには難しいので(お客が誰も乗っていない時でないと出来ない)、試乗会ならではの構図から記録(撮影)出来た事に大変満足している。それにしても車内全体を見渡すと「優しさに包まれた電車」と言う雰囲気がよく伝わる。優しい気持ちになったと言うか、不安やイライラなどの重い気持ちが京王2000系に乗っているだけで払拭出来てしまう所があると感じた。雰囲気としては最高の通勤電車である。
↑リニア中央新幹線の神奈川県駅の建設現場が見えると橋本駅に到着だ。
↑橋本駅に到着。再びエンド交換のために運転士と京王氏が新宿方の運転席に移動してきた。
14時50分を目安に5号車に集まってほしいとの案内放送が入る。若葉台駅到着後はドアコックを扱い速やかに下車した上で、車両も速やかに検車区へ回送させるためだった。
若葉台駅で下車すると満足に車外撮影している余裕は無く、すぐに検車区へ入庫となった。車外の記録(撮影)については営業運転開始後ならばいくらでも出来るので、今回は無しでも良いとした。
一旦改札口を出場する必要があるので、乗車時と同じ経路で改札口へ進み、やはり「けい太くん」の袋をぶら下げて通用口を通る。鉄道友の会側からは参加会員に対して再度全体集合して挨拶や諸々の案内が入る事も無く、自然と解散となった。
【最後に】
鉄道友の会の行事としては比較的短時間で終了した。試乗会と言う名目だったので参加費も安い値段であった。社名は言えないが某社の新型車両の試乗会を計画し某社に交渉したら「試乗会は全て断っている。定期列車として営業運転開始後に一般団体臨時列車としてやってくれ」と言う所もある。今回の京王2000系試乗会は、京王が鉄道友の会に誘いがあったのか、鉄道友の会が京王に試乗会をお願いし承諾したので実現したのか?その辺りは不明だが、新車が出たからと言って必ずしも試乗会が出来るわけでは無い事が分かった次第である。ブルーリボン賞・ローレル賞(2027年選出分)の投票する際の参考にもしたいが、今の所は非常に高評価な車両である。営業運転開始後にも改めて乗ってみたい。ここまで13,500文字になったが、普通は知っているだろうと言う予備知識を詰め込んだ結果そうなってしまった。多分失礼。
今回の試乗会が出来た事に大変感謝しています。京王電鉄の関係者の皆様にはお礼を申し上げます。ありがとうございました。