【2024年度は冬も発売】青春18きっぷ廃止騒動

 
 
例年であれば7月1日から販売が開始される夏季期間分の青春18きっぷ。しかし、6月半ばになってもJRグループから青春18きっぷ発売に関する公式発表がないことからSNS上では「サイレント廃止」を心配する声が上がっている
一方で、「JTB時刻表7月号では『青春18きっぷ』の特集を組んでいることから発表が遅れているだけではないか」という声もSNS上にはあがっていたが、そんなJTB時刻表を発売する「鉄道&時刻表@JTBパブリッシング」のX(旧ツイッター)において気になる動きがあった。6月17日になり「青春18きっぷ活用ガイド」と表紙に記載されたJTB時刻表7月号の発売告知ポストがXから削除されたうえ、アマゾンの販売告知ページからも表紙の画像が削除されてしまったのだ。
 6月10日に交通新聞社から発売された「旅の手帖7月号」でも「よくばり青春18きっぷ」の特集が組まれていたが、「旅の手帖編集部」のX(旧ツイッター)では、6月14日になり「【ご注意】 現在発売中の旅の手帖7月号:特集「よくばり青春18きっぷ」で掲載の青春18きっぷの情報(値段・発売期間・利用期間など)は、昨年を例としたデータとなりますので、ご注意ください」というポストが行われていた。

青春18きっぷの販売については、例年では2月頃に春季、夏季、冬季の販売について公式発表が行われているが、2024年に関しては、1月23日に春季分の発表しか行われていなかった。これは3月16日に、北陸新幹線の金沢―敦賀間が延伸開業したことに伴う同区間の並行在来線の第三セクター鉄道への経営分離により、ルール変更が生じたことによる。

 こうしたことから、JR東日本とJR西日本の広報に夏以降の青春18きっぷの発売について質問を行った鉄道コムによると「夏・秋は決まり次第発表する」といった趣旨の回答があり、さらにJR西日本の広報に「北陸新幹線の延伸開業で廃止になるのでは?」とも質問したところ「その予定はない」という回答が得られたという。

 しかし、週明けとなった6月17日時点でも、いまだJRグループからの「青春18きっぷ」販売に関する公式発表はない。

サイレント廃止心配される「青春18きっぷ」に異変!? 特集掲載のJTB時刻表、発売告知がXから削除…(鉄道乗蔵) - エキスパート - Yahoo!ニュース

 

 

↑こう言うような「青春18きっぷ廃止!」と煽る記事やSNSでの投稿が相次いだ。私は非常に不満に感じる。

「鉄道乗蔵」と言う鉄道ライターはYahoo!の公式コメンテーターらしいが、そういう立場でありながらも、不確かな記事を書いているのは、鉄道ライターとして失格である。こんなのは単にPV稼ぎ・金稼ぎが目的で書いているしか見えない。

 

 

↑同業者(鉄道ライター)の中からも批判意見が出ている。「青春18きっぷの将来性」についての記事はシーズン中(青春18きっぷが使える期間やその直前)に書くべきことではないと考える。それについてはシーズンオフ(使えない時期、例えば2月、5月、10月、11月等)に徹底的に論じれば良い。なので今はその事については書かない(10月か11月頃にブログで書ければ書く)。

 

【2024年夏の青春18きっぷについて・冬も発売が確実】

 

 

↑結果から言えば「例年通り」であった。唯一の変更点と言えば発売開始日で、例年7月1日からだったのが、2024年度からは7月10日からとなった。春と冬は利用開始初日の10日前から発売開始となっていたが、夏だけは何故か20日前からだった。これを統一する形で夏も10日前からとなった。なお利用期間は例年通りで2024年7月20日(土)~2024年9月10日(火)である。効力(JR全線普通列車乗り放題等)についても変更は無い。

6月18日公表のプレスリリースによれば、2024年度の青春18きっぷは「夏分」の発売しか公表していない。「冬分」(例年は12月10日~1月10日で使える)については発売有無さえも公表していない。直前(11月頃)に改めて公表かと思う。とは言っても「青春18きっぷは2024年夏分を持って廃止」と言うウワサは消えないだろう。

 

JR各社が1月24日に、「青春18きっぷ」の発売を発表しました。例年は「春季」「夏季」「冬季」の発売予定が同時発表されていましたが、今回は「春季」のみの発表。SNSでは夏季以降の設定について懸念する声も上がりましたが、JR東日本に聞いたところ、なくなるわけではないとのことでした。

(中略)

例年は2月上旬に「春季」「夏季」「冬季」の発売予定が発表されていますが、今回は1月下旬に「春季」分のみの発表。SNSでは「夏季と冬季はないの?」「廃止になってしまうのかも」と懸念する声や、「北陸新幹線の敦賀延伸の影響で、夏と冬はまだ詳細が決まっていないのでは」と推測するコメントなどが見られました。

「青春18きっぷ」春季のみ発表でSNSざわつく 「夏季」以降は? JR東に聞いた(1/3 ページ) - ねとらぼ (itmedia.co.jp)

 

↑この記事にある通り、2024年度は青春18きっぷの発売がある。冬分についても確実に発売される。但し、効力が変更される可能性はあり得る。

 

【遅くても5月24日の段階で青春18きっぷ2024年夏分の発売は決まっていた】

「JTB小さな時刻表2024年夏号」(6月20日発売・紙媒体)にはしっかりと青春18きっぷの説明が書いてあった。「発売開始日が7月10日から」と言うのもしっかり書いてあった。原稿の締め切り日は5月24日であった。この以降に更新された情報については原則として誌面には反映されない。
従って、5月24日の段階で青春18きっぷ2024年度夏分は発売が決まっていた事になる。
もしそれ以降に発売有無や効力変更が生じた場合、誌面には反映されず注釈が付くか(例えば「5月24日時点の情報です。本誌発売の段階では値段や効力等が変更になる可能性があります」と言うような断りが付く)、青春18きっぷと言う商品自体の掲載が無い事になる。これがネット媒体との決定的な違いである。
 
ではなぜJR各社からの公表が6月18日までずれ込んだのか?・・・その理由はわからない。
5月24日~6月18日の間にJR各社間や利害各社(例えばハピラインふくいのような北陸等の新幹線並行三セク等)との協議が改めて行われ、効力等を急きょ変更するという事はあり得ない。これだけは100%断言出来る。
なぜならば紙媒体の時刻表は「時刻のご案内はJR西日本アプリWESTERから」とスマホアプリ誘導の案内体制であっても、結局鉄道現場(みどりの窓口、有人駅、運輸区等)では今でも絶対に必要な道具なのだ。
それでもある程度はペーパレス化されており、JR東日本や東海は乗務員用運行時刻表はタブレット端末になっているが、補助的な道具として、確実に確認出来る道具として、紙媒体の時刻表は必要とされる。
紙媒体の時刻表の情報と実際の適用が異なれば、それは確実に混乱が生じる。お客への案内も正しい内容で出来なくなる。
「そんなのは紙媒体でやるのではなく、業務用タブレット端末を使ってネットで行えば良い」と言う考えもあろうが、そこまで完全にペーパレス化はされていないし、「手で書く作業」と言うのは一定数存在する。目の不自由な人向けの「筆談案内」はどんなにペーパレス化が進行しても消えるわけがない(タブレット端末の情報を印刷して渡せば「手で書く作業」は消えるのかもしれないが、それは駅での話であって乗務員が対応となると印刷機はどこに設置するのか?コストは?などの問題が生じるので現時的とは言えぬ)。JR西日本のように今でも(2024年現在)運行時刻表は紙媒体と言う会社の方がむしろ多い。
そのため紙媒体の時刻表は「絶対確実に正しい」と言えるし、それはペーパレス化がどんなに進展しても「不動の地位」と言える。
仮にこの期間に利害各社間で協議があっても、実際の効力等の変更は速くても2024年冬分以降に適用と考えて良い。
 

【年間80万枚も売れる大人気商品の廃止は…】

これについてマジで書き出すと先日公開した「静岡地区315系運行開始一番列車」のブログ記事並みの「超大作」となってしまうので、今回は簡単に述べておく。
青春18きっぷは全国で年間約80万枚が発売されている。利益率(粗利率)は低いとされるが、JR各社の収入に貢献しているのは確かだ。駅頭では全国統一のポスター掲示だけに留まる事が多いが、中にはJR東日本の宇都宮駅(宇都宮統括センター)のように手作りのポスターを作って駅(統括センター・営業所・鉄道部・支社等)独自で販促活動する所も僅かだが存在する。JR側も青春18きっぷの販促自体消極的というわけでも無い。むしろ「よく売れる商品」なのだ。それを廃止するのはJRとしてはかなり勇気が必要である。販促を積極的にやらなくても「よく売れる商品」なので、JRとしては「かなりおいしい商品」だと思う。
 
私が感じるには2020年代に入ってから若者(Z世代)の利用が減っているような気がする。むしろヘビーユーザー(我々昭和世代)が愛用しているような気がする。今や大学の鉄道研究会でさえも紙媒体の時刻表は使わないし、鉄道雑誌さえも買わない。乗り鉄・撮り鉄するならば、目的地まで自動車・新幹線・高速バス・LCCで直行し、目的が終われば直帰する旅行スタイルに変わっている。鉄研でさえもこの有様である。全員に言える事ではないと思うが、そのような傾向がある。「目的地までの間、途中寄り道しながら旅行する」と言うのが薄れてきている。
Z世代は「タイパ重視」とも言えるが、まさにそれが現れている。普通列車だけで時間をかけてダラダラと進むのはタイパとしては最悪である。東京~大阪「のぞみ」ならば2時間半で済むのに、これを東海道線だけで9時間(なんなら中央線+関西線で13時間・中央線+飯田線+東海道線+関西線+紀勢線+阪和線で2日)…というのは選択肢としてそもそも無いのだろう。「コスパ」は良いのかもしれないが、「タイパ」も良くないとダメ。そういう意味ではZ世代には不人気なのかもしれない。
 
だが青春18きっぷは「制度疲労」している所もある。新幹線との並行在来線は一部の例外を除き使えなくなった。それは国鉄時代には想定していなかったことだと思う。実質的に使える地域が限らているのも事実。例えば青春18きっぷだけで北海道となると札幌都市圏だけの利用が現実的で、札幌~旭川・札幌~室蘭ならばなんとかなっても、これが札幌~函館、札幌~釧路ともなれば特急主体のダイヤで普通列車が極端に少ないので”もう無理”である。
地域(路線)を限って特急券別購入で特急乗車可能とか、並行在来線は青春18きっぷ提示で通過するための割引きっぷが買える(えちごトキめき鉄道等一部で存在する)等も必要な状況になっている。さらに値上げも考えて良いだろう。5回(5人)で15,000円~20,000円(1日3,000円~4,000円)でも良いのかと思う。それでも「よく売れる商品」なのは間違えないかと思う。
シーズンオフに「青春18きっぷの将来性について」述べたいと思う。忘れていなければ。