ある日、息子と逃げる -4ページ目

ある日、息子と逃げる

工学博士が怖くて過干渉な妻から息子とともに脱走する物語です。

新入生歓迎会が始まった。

彼女は白いシャツにカチューシャにデニムといった感じでおしゃれしてきた感じだが、

清楚な感じではあるものの、田舎臭いあか抜けなさは、周りの女子の中でも目立っていた。

自己紹介が始まった。

女子達はここぞとばかりに満面の笑顔で恥じらいながらも『よろしくお願いしま~す』とアピールしていた。

今年は美人が多くてまずまずだなと部長の僕は内心ほくそ笑んでいた。

 

そしてついにアスペちゃんの番がきた。

すでに何度か話をして、ちょっと変わった子だなと思っていた僕は、どんなことを話すんだろうかと注目していた。

服装だけでなく表情も、一人だけ前を見ずに伏し目がちに下を見ている、少し引きつったような笑顔は少し違和感があった。

 

一通り出身校や高校時代の部活などの話をした後に、「私の貧乏下宿には電子レンジと洗濯機がありません。誰か余ってる人がいたら電子レンジと洗濯機私にください!」

 

それと同時に周りに笑いが沸き起こった。引いてるもの、冗談だと思って笑っているもの、反応は人それぞれだったが、僕は見ていた。彼女の伏し目がちで引きつった笑顔の奥に見える目はマジだった。本気でもらいたいと思っていた。

 

数日後、後輩達が何人か僕の新築のワンルームマンションに遊びに来た。その中に彼女もいた。

「うわー、先輩の部屋きれい!」「エアコンもある!」「トイレとお風呂が別だ!」

と羨ましがっていた。彼女の下宿はトイレ共同風呂なしなのだ。

「先輩!シャワー借りに来ていいですか?!」

と彼女に聞かれた。

僕は冗談だと思ったが、美人の後輩が遊びに来てくれる可能性が少しでもあるならと、

「いいよ!」

と笑いながら答えた。

 

翌日の夜、

ピンポーン!

彼女はマジだった….。