ひじきの損失余命とは……タバコより危険って本当? | タッキのブログ

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日本の伝統的な食材・ひじき。

 

鉄分、カルシウム、食物繊維などが豊富で健康によいイメージがあると思いますが、

海外では毒性のある無機ヒ素が含まれ、損失余命の高い食品なので食べない方がよいとの報告がありました。

 

厚生労働省の見解は? 実際の健康効果、危険性は?

 

わかりやすく解説します。

 

ひじきは「無機ヒ素」を多く含むから危険で有害?

カゴ盛のひじき

「ひじき」には食物繊維や鉄が多く含まれ、身体によいと思って食べてきました。そんなひじきには毒性があるため食べないよう勧告が……。

 

ひじきは日本人が古来から食べてきた食品のひとつです。

 

ところが、2004年7月英国食品規格庁より、ひじきが健康を害するため食べない方がよいとの勧告が出されました。

 

理由は「無機ヒ素」を多く含むため。

ご存知の方が多いと思いますが、「ヒ素」は農薬や殺鼠剤に使われる毒物です。

 

ヒ素には「有機ヒ素」と「無機ヒ素」があり、毒性は「無機ヒ素」のほうが強いといわれています。

 

WHOのファクトシートによると「飲料水や食事からのヒ素の長期にわたる摂取は、がんや皮膚病変の原因となりうる。

 

また、心血管疾患、神経疾患、糖尿病の発症にも関連している。」とあります。

ヒ素中毒は一度に大量に摂取したことによって起こる急性中毒だけでなく、慢性的に蓄積されることで慢性中毒が起こることもあります。
 

「ひじきの損失余命」とは?

これを受けて「ひじきの損失余命」はどのくらいなのか、気になる人もいるようです。

「損失余命」とは身体に悪影響を及ぼす食事や行動によって、どのくらい寿命が縮まるかを示す考え方です。WHO(世界保健機関)が取り入れている考え方でもあります。

代表的な損失余命としては、タバコを1本吸うと12分縮まる、コーヒーを1杯飲むと20秒、ソーセージを1本食べると25秒縮まるといったものが知られています。

 

この考え方によると、ひじきの損失余命は小鉢1杯で58分と言われており、タバコより損失が大きいことから、「ひじきはタバコよりも有害」という説がセンセーショナルに広まったようです。
 

厚生労働省の見解に見るひじきのヒ素の安全性・危険性

それでは実際に、私たちが日常的に食べているひじきは、安全なのでしょうか? 危険なのでしょうか?

 

厚生労働省が、実際に日本人が食べているひじきの量から危険性の有無を、東京都福祉保健局が「ひじきに含まれるヒ素」でまとめています。これによると……
 

  1. 日本人の平均的な海藻摂取量は1日あたり14.6g。そのうち、ひじきは約0.6gです。
  2. WHOが定めた無機ヒ素の耐用週間摂取量は15マイクロg/kg体重/週なので、体重50kgの人の場合、1日に107マイクロg(1週間に750マイクロg)までは大丈夫。
  3. ひじきに含まれる無機ヒ素は最大22.7mg/kg(22.7マイクロg/g)ですので、1日あたり4.7g以上を食べ続けない限り、健康に悪影響を与えることはありません。
 

平均的な日本人の食生活では、ひじきの摂取量は1日0.6g程度。ですので、今まで通りの食事であれば、ひじきで問題は起こらないと考えて問題ありません。

もちろん量の問題ですので、もし毎日必ず、丼に1杯ずつひじきを食べているという場合は無機ヒ素が問題になる可能性もあります

 

(しかしその場合、ひじきの無機ヒ素の問題以前に食事のバランスがよくないので、食事内容を考え直すべきでしょう)。

実際、厚生労働省の発表にも「海藻中に含まれるヒ素によるヒ素中毒の健康被害が起きたとの報告はありません」と明記されています。
 

妊娠中は? 妊婦・赤ちゃん・子供もひじきは安全?

上記の量を見てわかっていただけたと思いますが、もちろん、妊娠中であっても安全性は同じです。

 

妊婦や離乳食を開始した赤ちゃん、子どもがひじきを食べるのも問題ありません。

むしろ、ひじきは食物繊維やカルシウムや鉄などが豊富であるため、常識的な範囲で食べるのがよいと思います。
 

ヒ素を除去する方法は? ヒ素除去に効果的なひじき調理法

英国食品規格庁の勧告を受け、農林水産省が調理による無機ヒ素含量の変化を調べました。

 

平成18年度~平成20年度にスーパーなどから取り寄せた乾燥ひじきを水洗い、水戻し、茹でる、茹でこぼす等の工程でどのくらいヒ素の含量が変化するのかを調べたのです。

というのも、無機ヒ素は水溶性。これらの工程でさらに取り除くことができるのではないか?と予想したのです。

その予想は大当たり! 水戻しで50%、茹で戻すと80%、茹でこぼすと90%程度減らすことができることが分かりました。

 

この結果から「茹でこぼし」するのがもっとも無機ヒ素を減らすために有効だといえます。

それぞれの調理法は以下の通りです。

  • 水戻し……30分間水に浸し、戻し水を捨てて水洗い
  • 茹で戻し……水に入れて茹で、沸騰後5分茹でる。茹でた湯を捨てて、水洗い
  • 茹でこぼし……30分水に浸し、戻し水を捨てる。お湯に入れ茹で、沸騰後5分間茹でる。さらに茹でた湯を捨てて水洗い

調理の際、最も重要なことは、戻し汁は使わないこと。

 

しいたけの戻し汁のように出汁が溶けているのであれば調理に使わない手はありませんが、

ひじきの戻し汁には無機ヒ素が溶け出しているため、「ひじきの戻し汁=無機ヒ素水」になっています。

 

ご注意を!

くわしくは農林水産省のリーフレットや農林水産省HPの「乾燥ヒジキのヒ素を減らす調理法の調査結果」で確認して下さい。
 

ひじきの栄養素の鉄分・カルシウム・食物繊維は残せる

水で戻したり茹でたりしている間に無機ヒ素が戻し汁に抜けてしまうのであれば、他の栄養素も一緒に抜けてしまうのではないかと心配する人もいると思います。

しかし、心配ご無用。

先述の農林水産省の「乾燥ヒジキのヒ素を減らす調理法の調査結果」によれば、鉄分は茹でこぼしをしても7割以上が残り、

カルシウムはほとんど変わらず(水戻しのみ若干、増えたようですが、水道水中のカルシウムの影響ではないかと記載されています)、

 

食物繊維は8割以上が残っていたとの結果でした。

 

これら結果を見る限りでは、ひじきの無機ヒ素を怖がるよりも、食材のひとつとして今後も活用するほうがよさそうです。

身体に悪影響があると言われているものを食べるのは避けたいですが、ひじきに限らず、すべての食材には多かれ少なかれ、メリットとデメリットの双方があります。

 

メリットとデメリットの両方をきちんと精査し、センセーショナルな情報だけに惑わされずに、自分にとってより有意義な方法をしっかり選択したいものです。

 

 

実践栄養ガイド 平井 千里

All Aboutより転載

 

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