…だということが得心できた。そういう状態にならなければ あの人間情景のなかに入ってはいけない。こころが、他を容れるゆとりのある状態に復帰しなければ。ぼくにはよい訓練だ。

 

 

そのためにこそ、結果から言えば、ずっと音楽を聴いていた。そうして祈っていた。すきこのんで入る世界ではない戯曲から逃げていたのだ。これは正常なことである。そして気づけば、どれ、戯曲の世界に入ってやるかな、という状態にやっとなっていた。