いま、ぼくが2009年に出した高田博厚論を再読しているが、とてもよく解る。この本に還ってくるために、それから今までがあったかのようだ。この論は、高田さんのルオー論との対決によって高田さんの人間芸術思想をはっきりさせようとしたものであり、「ものなしにはかんがえない」というアランの思想鉄則に則っている。高田さん自身が、己れの最も明晰な思想表明のためにルオーと対決している。そして、そのルオー論とぼくが対決するかたちとなっている。幾重もの、対決であり対話なのである。それが思想であると見極めた上で。