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キッシンジャー氏が遺したこと プーチン氏はなぜ彼に耳を傾けたのか
© AP Photo / Susan Walsh
サイン
米国の外交政策の柱の一人であり、米ソの緊張緩和を提唱してきたヘンリー・キッシンジャー氏が死去。キッシンジャー氏は冷戦後、10回を超すモスクワ訪問を行い、その都度ウラジーミル・プーチン氏と会談してきた。それは、実はプーチン氏がまだ大統領に選出される前から続いていた。
外交と対話
「ヘンリー・キッシンジャー氏は自国の国益を断固として主張する力があり、今の西側の政治家らの狂気と粉砕を背景にしながらも外交と対話の再生を図ろうとした有能な外交官として歴史に名を遺すだろう」クレムリンはキッシンジャー氏の逝去にこうした声明を表明。
ロシアがこう評すキッシンジャー氏の方は、2016年のモスクワ訪問の際にプーチン大統領について、こんな感想を述べていた。
「ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、自国の国益を明確に計算し、断固として譲らない。そしてその国益には独自の特徴がいくつもあることを正当に示している」
自国の国益を擁護し、全ての問題を対話を通じて解決する。まさにこの資質がキッシンジャー氏とプーチン氏を近づけ、お互いにとって興味深い対話相手にさせていた。
民主主義? それとも権力の空洞?
キッシンジャー氏がプーチン氏を独裁者呼ばわりしたことは一度もない。またロシアを非民主主義国と扱いしたこともなかった。キッシンジャー氏は、「今日の世界では、脅威は国家権力の集中からではなく、国家権力の崩壊の結果、生じることが多い。権力の空洞が拡張すれば、かつてどれほどの威信を誇った国であろうとも、それには対抗できない」と指摘していた。
5月18日, 08:51
多極世界は不可避
キッシンジャー氏は米国とその同盟国に対し、新国際システムの形成過程においてロシアの声に耳を傾けるよう助言していた。キッシンジャー氏とプーチン大統領は、米露が長期的に利益を得るには、現在の混乱と不安定さを新たな多極的均衡へと転換するような世界秩序が必要との認識で一致していた。
© POOL
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プーチン大統領、着任大使の信任状を受理 市民社会・人権発展評議会の会合に出席
ロシアのプーチン大統領は4日、各国の着任大使への信任状授与式で演説した。
主な発言は以下の通り:
ロシアは独立した政策を行い、協力に開いた姿勢をとっており、陣営的な地位は受け付けない
ロシアは来2024年の議長国としてBRICSの役割向上に協力を行っていく
ロシアはいかなる相手に対しても先入観的、敵対的な意図は持っておらず、外国のパートナーとは同権的な関係を期待
ロシアはこれから先も先鋭的、地球規模的問題の調整に貢献していく
4日、新大使21人の信任状を受理するプーチン大統領
© Sputnik / Pavel Bednyakov
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ロシアは人道的路線で外国とのパートナーシップをエネルギッシュに拡大していく
またプーチン大統領は、国連が世界人権宣言を採択した12月10日、「人権デー」前夜に開催される市民社会・人権発展評議会の会合で演説した。プーチン大統領は、世界人権宣言75周年は人権を確保し促進する国際的なシステムの劣化が進むという困難な状況の中で行われていると指摘。そして、このことは国際機関の無力さと、ドンバスの住民に対する侵害を徹底的に無視している状況が証明していると述べた。その上で、ロシアは多くの国際人権組織から脱退したものの、宣言で定められた原則を放棄しているわけではないと強調した。