書こうとしていた時間帯を外れてしまったので、直観の充溢の保証はないが、しかし意志で再生できる経験記憶に拠ることで充分なので言うが、どんなエゴイストもモラリストよりは耐えやすいのである。ここで言うモラリストは、道徳主義者のことである。そして、ぼくが結論したいことは、モラリストはどんなエゴイストよりも自己中心的であり、それも、他者を支配し他者に命令するという形態で自己中心的なので、どんなエゴイストよりも耐え難く自己中心的である、ということなのである。このことに触れたのは今が最初ではない。じぶんが一片の好意にも価しないのに、他者にじぶんへの好意と親切を道徳や倫理の名の許に平然と要求し命令する、あの道徳主義者の言語道断の不愉快さに、ぼくは既に触れたことがある。この道徳主義が信仰の形態をとったら、これは立派に気違いである。

 

モラリストは、じぶんへの好意を持てなくさせておいて、それを相手の責任に帰するという、負の循環である。地獄にしか行きようがない。それ自体が地獄である。