初再呈示

 

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いつひとりの人間が 今朝(けさ)ほど 

目覚めたことがあったろう 

花ばかりか 小川ばかりか 

屋根までもが歓喜している 

 

その古びてゆく縁(ふち)でさえ 

空(そら)の光に明(あか)らんで 

感覚をもち 風土であり 

答えであり 世界である 

 

一切が呼吸(いき)づいて 感謝している 

おお 夜のもろもろの憂苦よ 

お前たちがなんと痕跡(あとかた)もなく消え去ったことか 

 

むらがる光の群(むれ)で 

夜の闇はできていた 

純粋な自己矛盾であるあの闇が 

 

 

Wann war ein Mensch je so wach. 

 

(リルケ詩集 富士川英郎訳 新潮文庫 178-179頁)