ルソーの告発するような、こういう西欧の連中が、いまロシアに対しているのだろうと、感覚として解る。西欧文化の敗北だ。

 

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《今後は、僕のほうで彼らを嘲笑してやることができるのだ。》

《彼ら人間が僕のところにもどってきたところでむだなことで、僕をふたたび見いだすことはあるまい。僕には彼らから焚きつけられた軽蔑心があるので、いまさら、彼らとの交際は味けないものだろうし、荷厄介でもあろう。それに、僕が彼らと一緒に生活することの幸福にくらべれば、一人居のほうが百倍も幸福なんだ。・・・よしや今後、彼らが僕に善をなそうが悪をなそうが、彼らのことなど僕にはどうだっていいのだ。そして彼らが何をなそうと、僕の同時代人など、僕にとっては、永久にものの数ではないだろう。》


 

「偉大な魂は、凡俗とは対談しえないものだ」




《それだのに、僕は未来に対してまだ期待をいだいていた。そして、今後はよりよき時代がやってきて、・・・現代を操っている者たちの策略をやすやすと看破して、はては、僕のありのままの姿を見てくれることに望みをかけていた。・・・せめて別の時代になったら、公衆が自分にもどってくるだろうと期待したのは、認識不足もはなはだしかったのである。なぜかとなれば、他の時代とて、僕に関することで、その時代を操る者といえば、僕に反感をいだいた団体内において、ひっきりなしに入れかわる指導者にほかならぬからである。個人は死んでも、集合的の団体は死なない。そこには同じ感情が根をはっている。そして、彼らの激しい憎悪の情は、あたかもそれを煽りたてる悪魔のごとく不滅のまま、相も変らず活躍をつづける。個人としての敵はことごとく死ぬときはきても、医師は、オラトワール協会員は、いつまでも生きるであろう。・・・僕の罪というのは、そもそも彼ら自身の不公平のいたすところであるのに、その罪をさえ、彼らの自負心が僕に赦すことは絶対にないだろう。また、彼らは公衆の怨恨を消すまいと、たえずそれを煽りたてることに汲々としているので、公衆もまた彼ら以上に和らがないだろう。》


〔青柳瑞穂氏の訳によっている。 傍線は引用者。〕 




ルソーの経験はほんとうに不可解で不気味だ。あの時代で・・・