(つづき)その、暴力と不公正の精神態度は、あなたには余りにも本性的に縁遠いものです、可愛いヴィオレット。そういう態度があなたを占領したのは、きっと私のせいです。

 

(ヴィオレット) あなたはご自分の奥底から語っておられると、わたしは確信します。でも、もしあなたが芝居を演じてらっしゃって、あなたが最も計算高くて最も不実な女性の役であるのなら、あなたは、これ以上巧みに、ジェロームとわたしとの間に飛び越えることのできない溝を穿つために、振舞うことはできないだろう、ということが、あなたには分からないのですか…

 

(アリアーヌ) 私は、あなたたちの間にそのような溝を穿つことはしません。ジェローム、すべてはあなた次第です。ヴィオレットは私よりも価値があるわ。彼女は私よりも本物だわ。彼女は女だわ。彼女はひとりの子供を持った。ほかの子供たちも持つでしょう… 私は、ない… (アリアーヌ、もう話せない) 私はもう現実に存在していない。(アリアーヌは嗚咽で震えている。ジェロームは彼女の許へ行き、その傍に坐り、その手を取り、愛撫する。

 

(ヴィオレット、立って。) もし、あなたが、ほんとうにゲームをしたかったのであれば、それにしても何故ゲームをしたかったのでしょうか? 唯一つの方法しか無かったのです。すなわち、ご自分が、やきもち焼きで、要求が多く、こせこせした人間であることを示せば良かったのです。一言で言えば、わたしをライバルとして扱えば良かったのです。あなたは、いかさまをすること無しには、その方法を拒むことが出来なかった。あなたのサイコロには、ごまかし細工がありました… ああ! でも、わたしはあなたへの深い感謝を保ちます、アリアーヌ。あなたは、わたし自身では決して見いださなかったであろうものを、わたしに教えてくれました — (つづく)