(アリアーヌ) 病気の一時的な鎮静状態にすぎないと私は思います。何日か前から、再びある種の徴候を自分で確認しています…

 

(ヴィオレット) ええっ?

 

(アリアーヌ) それはもう大きな問題ではありません。

 

(ヴィオレット) ロニーの空気、山地の陽光が、多分、症状を治してくれるでしょう…

 

(アリアーヌ) 多分… でも、今の時代で、私たちが触れないわけにはゆかない、とても深刻な問題があります。財政的な将来のことです。ジェロームは、ご存じのように、個人財産を全然持っていません。そして、私たちは皆、現在、芸術家の人生がどのくらい不安定なものか、知っています。そして、彼ほど、何か不安があることに甘んじることが困難な人を、私は知りません。ほかの人々は、反対に、もっと手堅く、もっと順応して、無雑作に我慢しているのに。私のほうから、それほど大した財産ではありませんが、融通できるかも知れません…

 

(ヴィオレット) あなたの仰ろうとすることは、分かりませんが、でも、おねがいいたします… そういうお金の問題は、悪夢ですわ。

 

(アリアーヌ) その問題からあなたが逃げようとするのならば、ですね。(つづく)