(ヴィオレット) 彼の言うことを聞いていて、わたしはいかなる疑いも抱きませんでしたが、今は…
(アリアーヌ) では、その確信があったということにしておくべきですね。その確信をあらためて問題視することはありません… ジェロームは、私が出発する前に私と話す気がありそうに見えましたか? 私が明後日に去ることは、あなたはご存じです。
(ヴィオレット) 彼は何も言いませんでした。
(アリアーヌ) 彼らしいこと。彼はそれよりも私に手紙を書くと思うわ。
(ヴィオレット、訝しげに。) あなたのほうから先に働きかけることは、問題になりえないのですか?…
(アリアーヌ) それは絶対に出来ません。私たちが会話できる状態をつくることが、私には必要なのです。つまり、彼がいつも忘れているにちがいないことを、彼に悟らせることが。
(ヴィオレット) 今後もですか… ?
(アリアーヌ) ずっとです、ヴィオレット、私の言うことを信じて。私がそう主張するのは、あなたの為なのです。ジェロームは、根に持つことがあります。彼が、私たちの間に、その種の暗黙の同意があることに気づいたら — ごめんなさい、ほかの言葉を思いつかなくて — 彼は、そのことであなたを許さないようになるでしょう。
