(アリアーヌ) それで、本当は?
(ヴィオレット、とても低い声で。) 分かりません。多分… それはあなた次第です。
(アリアーヌ、長い沈黙の後で。) あなた、結局あなたは、最も幸福なことは何も私に告げてくれることは出来なかったようですね。この出来事は…
(ヴィオレット) 出来事ではありません。
(アリアーヌ) 私がそれを望んだとは、私は率直に言うことができません。だいいち、私がこんな病気になってからというもの、ああ、そういうことが何を意味し得るのか、もうよく分からないのです… それに、ねえ、人は自分で欲するようには強くないのです… 今日終わってしまう私たちの生活の時代のなかには、たくさんの悲しいこと、たくさんの心を引き裂くことと並んで、深い感謝の感情なしには思うことのできない時期がありました。
(ヴィオレット) 灼けるような愛惜なしには、とは、どうして仰らないのですか?
(アリアーヌ) いいえ、ヴィオレット、はっきり言いますよ。私に愛惜の念があったのは、ずっと昔のことで、私が試練を経ていなかった時期です。その試練から、人は遂に大人になって出てくるのです。過ぎ去ったことへの感情は、私にとっては、すべての辛酸を免除されたものです。その感情に伴っているものは、むしろ、一種の(つづく)