(つづき)彼女はそれらの土地に我慢できないのです。ほら、例えばトゥーレーヌ、あるいはアルザス、そういう処を彼女は、安易な土地、と呼ぶのです。私の妹の好みを、また嫌いなものすら、私がそれを自分に説明し始めたのは、やっと私が発見をした時からです… でも、どうして私がそんな心理学的な解釈に関わり合うようになったのか、自分でもあんまり分からなさすぎます… それでも、もし… こういったすべては、あなたにとって関心を惹くものや、有益なものすら、無いとはいえないかも知れないのです。多分、本人は気づいていないでしょうが、アリアーヌは自分のすべての経験を、あるひとつの、彼女自身という観念と、結びつけているのです。よく分かってください、私は、意見、とは、全然言いたくないのです。彼女は、自惚れ屋であるには余りに知性がありすぎます。雰囲気という観念、気候という観念、そういう観念の外では、彼女は文字通り、生きることも、呼吸することも出来ないのです。

 

(ヴィオレット) とても奇妙なことですわ。

 

(フィリップ) 彼女が繁く会いに行く人々にたいしても、きっと同様です。病人たちにたいする彼女の明らかな偏愛は、おそらく其処から来ています。そしてこの傾向を、消滅させること無しに、彼女は自分自身に白状できないでしょうが、この傾向は、時に、ある軽率な行動の原因となったのです…

 

(ヴィオレット) まあ…

 

(フィリップ) その結果たるや、(つづく)