(つづき)まだ言い足りない。ぼくがその会話にもう耐えられないことは、絶対に決定的なのだ。

 

(ヴィオレット) 彼女はじきに発つのよ。

 

(ジェローム) きみたちの会話が手紙で続けられないと、何がぼくに保証してくれる?

 

(ヴィオレット) じつのところ… (ヴィオレット、言うのをやめる。

 

(ジェローム) 何を言おうとしたの?

 

(ヴィオレット) いいえ、何も…

 

(ジェローム) アリアーヌが漠然とながら真実に気づいて、ぼくたちを引き離す恐ろしい方法を見つける、ということはないと、誰に分かる?

 

(ヴィオレット) あなたは理性を失くしているわ。

 

(ジェローム) しばらく前から、彼女は以前と同じではないんだ。彼女をあんなに疎遠に感じたことは、今までに一度も無い。ああ! ぼくにたいする愛情が減っているというのではない。逆だよ。でもぼくには説明できない。まるで彼女は、理解のできない高揚に捕えられているみたいなんだ。このことは、ぼくが彼女に懐いていた推測とは殆ど相容れないことだと、ぼくは判じる… ぼくは発見しんたんだけど、ねえ、彼女は本を書いているんだよ。未知の人々のための一種のジュルナル・アンティーム〔個人的日記〕だ。ああ! 死後刊行ということになるだろう。(つづく)