(ヴィオレット) どうかお願いです、それ以上仰らないでください。

 

(アリアーヌ) 自分たち自身に向かって取り決めることは私たちには出来ないまま、私たちは結婚しましたが、この結婚は彼にとっても私にとっても苦い失望でした。それにもかかわらず、何故なのか私は自分にも完全に説明できないのですが、私はかなりあっさりとこの結婚を受け入れました。私が間もなく病気になったのはほんとうです。ジェロームは逆に、私は彼のことを知っていますが、いつも悩んでいました。そこからなのです、私は確信していますが、他人の前でも自分の内部でも卑下する、あの有害な傾向が始まっているのは。ご想像してくださいますか? こういう事情のなかでは、病気のあの数年の間、私がひどく苦しんだのは無理もないということを。私は彼の悪霊だったのではないか、私は彼のほんとうの生涯から彼を引き離してしまっていたのではないか、と、自問するに至った日々もありました。

 

(ヴィオレット) あなたは仰る気にはなれません…

 

(アリアーヌ) 私は、そう自分に問うまでに至りました。でも同時に私が知っていたのは、彼が自分の後悔を、どんなものであれ、彼自身では否認していることでした。それで私は彼の良心を体現しつづけていたのです。私は、自分自身のためなら、死を恐れたことは一度もありません。ほんとうの恐怖を抱いているのは、少なくとも二度は重ねて私は有罪宣告を受けていると自分のことを思っていることです。(つづく)