(ジェローム) はっきり言うけど、きみはもう病人のようには全然見えないよ。
(アリアーヌ) 残念だけど、見かけはちょっと欺くものよ、知ってのとおり。
(ジェローム) それでもぼくはきみの様子から、時々思ったよ… きみは少しずつでも、住む土地に再び順応しようと試みることが、ほんとうに出来ないのだろうか、と…
(アリアーヌ) 思っていることをはっきり言ってちょうだい、あなた。
(ジェローム) たとえば、きみの滞在を、ぼくもきみと一緒に出発できる時期まで延ばしてみるとかさ。
(アリアーヌ) それは医者が私にするなと言っていることよ。でも、あなたが望むなら…
(ジェローム) ぼくは、きみはもう医者にはかからないと思っていたよ。
(アリアーヌ) 私、世話をする私の患者たちの誰某の処で、ドロー医師ととてもよく会うのよ。どうしたって、彼は私に尋ねるわ…
(ジェローム) きみはもう、「私の患者たち」とは言わないほうが、ぼくにはいいね。その所有表現はいらいらさせる。
(アリアーヌ) その通りね… わかったわ、それが少しでもあなたの喜びになって、気持が少しでも晴れるなら、あなたの求めるようにしてみましょう。
(ジェローム) ぼくは何も求めていないよ、アリアーヌ、(つづく)