(つづき)その反対のことを言うことはあった。だがその後… 音楽がむさぼり食ってしまう生活があって、それがぼくには耐えられないんだ。
(アリアーヌ) 誰のことを当てこすっているの?
(ジェローム、身を引いて。) 特別に誰のことでも。とてもよくあることだよ。
(アリアーヌ) でもあらゆる情熱は… むさぼり食うものよ。
(ジェローム) 情熱!
(アリアーヌ) たしかに、あなたは様子が良くないわね。少し痩せたのではないの?
(ジェローム) それは分からないし、そうとは思わない。
(アリアーヌ) 確かめなくては。私の居ないとき、充分食べているのかしら。レンジの記録を見て、あなたは毎日同じものを注文していたのが判ったわ。もうちょっといろいろ食べなくちゃ。けっきょく、私が、あなたのために注文しなければならないわね。
(ジェローム) 向こうに居てかい?
(アリアーヌ) どうしていけないの?… それにフィリップはさっき、私が心配になることを言ったわ… あなた、私の居ないとき、ちょっと余りに倹約しすぎていない?