(つづき)あそこで、あなたの論評を週毎読みながら、論評があなたにだんだん負担にならなくなってきていることに、気づいていたわ。

 

(ジェローム) 今から一二年したら、ぼくはどんな夕暮者の水準にも達しているだろう。

 

(アリアーヌ) 夕暮者って何? 

 

(ジェローム) 基本を理解していない事柄について、敢然と話し始める時、その時から、夕暮者なんだよ… 

 

(アリアーヌ) どういうこと?  

 

(ジェローム) ぼくには専門技術的な知識は無い。そのことはよく知ってるだろ。その上、音楽にうんざりする時が、ぼくにはあるんだ。

 

(アリアーヌ) 調子がよくない時ね。

 

(ジェローム) それがかなりしばしばあるんだよ。

 

(アリアーヌ) どうして? 

 

(ジェローム、それには答えずに。) とりわけぼくをひどくいらだたせるのは、音楽を宗教のように扱う或る種の人々が持っている流儀なんだ。音楽は宗教じゃない。娯楽だ。 

 

(アリアーヌ) でも、あなた、私は、あなた自身が言うのを聞いたことを覚えているけど… 

 

(ジェローム) もちろん、ぼくにも(つづく)