第五場

 

アリアーヌ、フィリップ

 

(フィリップ) さて、あのひとたちについて、とくに、ぼくには少なくとも風変りに思える、あの話のことを、説明してよ。

 

(アリアーヌ、うんざりした様子で。) もう言ったわ。セルジュ・フランシャールとは、もう治ったけど一時期私が世話をした女性の患者のところで再会したのよ。

 

(フィリップ) ヴィオレットというのは? 

 

(アリアーヌ) その患者の姉妹よ。私、彼女と伴奏練習をするの… 

 

(フィリップ) 解った。でもどうしてそのフランシャール氏は彼女にそんなに熱心に関心を持つんだい? 

 

(アリアーヌ) ヴィオレットは彼の恋人だったの。そして彼は小さい娘さんの父親なのよ。

 

(フィリップ) 彼はその娘を放棄したのかい?

 

(アリアーヌ) そうは思わないわ。(つづく)