(つづき)おやめになってください。ヴィオレット・マザルグさんには私は心底深い好意を抱いております。美しくて素晴らしい性質のひとです。(沈黙。)
(セルジュ、打ちのめされて。) それはほんとうです。あのお方についてどうお思いなのですか?
(アリアーヌ) お答えするのは難しいですね。私たちは一頃、たくさん手紙を書き合っていました。でも、彼女の手紙には、私に気に入られなければならないと思っているような、わざとらしい調子にいっしょうけんめいである印象を、私はいつも懐いていました。私には彼女の役に立つところが幾つかあるので、彼女は、私のものだと思っている次元に私を再び結びつけるのが、自分の義務だと信じていたのです。そうですね、こう言ってよろしければ、高い精神性の次元に、でしょうか。でも、彼女の言葉は、心底からの気持を感じさせるものではありませんでした。
(セルジュ) 高慢ちきだな。ぼくは一度もそれは感じることができなかった。
(アリアーヌ) 私がとりわけ思うのは、犠牲者なのだということです。犠牲者を裁かないようおねがいします。
(シュザンヌ) あなたはすばらしい方ですわ。
(セルジュ) 彼女はあなたに何のわるいこともしていませんよ。
(アリアーヌ、深い感情から。) そう確信しておいでですか?
(シュザンヌ) それについてはあなたは何も知らないわ。
(セルジュ) しかるに一方で、彼女はぼくを、(つづく)