初再呈示 

 

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ぼくはいつもこの世にたいして訪問者あるいは異邦者であるとじぶんを感じてきた。正確には、訪問者あるいは異邦者であるのに、あたかもこの世にぼくも属していると強いて義理がたくじぶんを思い込もうとしてきた。しかしその無理さがけっきょくあきらかになって、じぶんを訪問者あるいは異邦者とみとめることになってきている。それが自然な実感なのだ。そしてぼくがいいたいのは、ぼくはけっしてよい訪問者あるいは異邦者ではなかったということ。この世にけっして溶け込まなかったからであり、そのいみでは、それは訪問者あるいは異邦者らしいことであったともおもう。終始、訪問者あるいは異邦者の態度にとどまった。そのことじたいが礼を欠くことであったろうが、仕方のないことである。いまにはじまったことではなく、さいしょからこころがこの世になかったのだ。この世に属していないのにこの世に属しているかのように装う、それをぼくはずっとしてきたのだ。まったく気ぐるしいことであった。すくなくともいまぼくは、じぶんにたいして、そういう思い込みをやめる心境なので、楽な気持になっているのです。 

 

 

人間ってもともとそうなので、そう感じないひとというのは潜在的にありえないとおもうのですよ。そういういみでは、みなぼくとおなじですね。そういう意識に目醒めていなくとも。つまり根源の意識はぼくのほうにあるという、観点の転換です。