(セルジュ) 妻をどうかおゆるしください。慎みが全然無くて。

 

(アリアーヌ) それが欠点ですの? 

 

(シュザンヌ) あの方はあなたのお兄さまなので、と思いましたわ… あなたご自身が、存じませんが、あなたが、このような信頼を抱かせるのだと…

 

(アリアーヌ、自分の考えを追って。) 私は、パリに来る度に、確かめるのですけれど、私自身の家族内にいたるまで、自分を抑制しようと努めることさえ、もう、されなくなっています。まるで、生活の重圧が、あまりに強く、あまりに耐え難くなってしまって、心という心が破裂しているみたい。

 

(シュザンヌ) そのとおりです、マダム。あなたがあそこで仰っていることは… 

 

(アリアーヌ) あの高地、私の居るところでは、私は、ほとんど病人としか会いません。

 

(シュザンヌ) あなたはほんとうに善いお方で、すごく献身的に働いておられます… 

 

(アリアーヌ) 病人たちの事情は、ちょっと違います。どんな場合でも、彼らはもっと護られ、もっと防御されています。彼らの病気そのものが、彼らと世の出来事との間の、一種の幕みたいなものなのです。でも、ここでは… あなた方は、あらゆる力に、あらゆる酷い流れに、引き渡さていて、この流れは、世界の上に荒れ狂っています。あなた方は、保護されていません。