他者というものはぼくについて理解していないということは、基本的なことであり、その基本的なことを心得ている(だけである)かぎり、この孤独はそれほどたいしたことではない。  孤独がうっとうしくなるのは、ぼくについて誤解と無理解しかない他者たちが、その人格力をもってぼくを取り囲んでいることを感じる時である。これらの力を拒絶していかなければならないな、と思うとき、そのために払うぼく自身の力仕事が、そこで感じる孤独が、その力仕事を思うことで、うっとうしいのである。 しかし、独立するということは、そういう力仕事をする孤独のなかにしかない。 そこでほとんど暗鬱とならない人間は、本物ではない。