(つづき)何という空間、何という明るさ!(窓の処へ行って眺める。)
(フェルナンド) ほとんど工場の煙突しか見えませんけれど、すくなくとも空気はいいですね。それはほんとうです。
(アリアーヌ、戻ってきて、ヴィオレットに。) こんにちは、マドモワゼル。とうとうお会いできて、私、どんなに嬉しいでしょう! あなたのお噂を聞くようになってから! (ジェロームに。) こんにちわ、あなた。マザルグ嬢が、あなたはここに居るだろうと言っていたわ。
(ジェローム) うん、ぼくは…
(アリアーヌ、彼の言葉を遮る。彼に、その当惑を示すことを許さないためであるかのように。)いい機会だわ。私、車を持ってる。あなたが望むなら、私たち、一緒に帰りましょう… でもむしろ、いいえ、考えさせて… ヴィクトールに言ってちょうだい、あなたが好きな処へ運転してくれるようにと。私はバスを使うわ。
(フェルナンド) ここからは、地下鉄がいちばん便利ではないかしら…
(アリアーヌ) とんでもない。換気が欠けると、私、病気になるわ。
(フェルナンド) それは解るわ。私も、最初の頃は、あなたと同様だったもの。
(アリアーヌ、ヴィオレットとジェロームに向かって。)(つづく)