ぼくが恨んだ者は地獄へ落ちる。これはひとつの完全な真理である。そうでなければぼくの怨念は鎮まらないから。

 

怨念がどれほどのものかをひとは知らなければならない。ぼくは言い返さないのだから神は復讐する責任がある。ぼくが好き放題言われっぱなしであるということがあっていいものか。

 

 

 

 

 

残念なのは、その者がどんなにひどいめにあっているか、ぼくは知ることができないということだ。ぼくの記憶は、ぼくが一方的に打撃を受けたところで止まっている。何の本質的縁も無い他人から。これはひどいことだ。ぼくが鎮まるわけがない。ぼくの望みは、その者が往生しているならその往生場から引き出して、その者を地獄の刑罰に投げ入れ、苦しみもがくのを確かめることだ。そうしてやっと鎮まる。無理なきれいごと、悟りごとは、ぼくははるか昔に卒業した。

 偽善こそが暴力をのさばらせるのだ。