言いたいことだけ言い、表現したい感情だけ表現して行った者の幸福など、どうしてぼくが祈る気になるだろうか。それが友だなんて、どうしてそういう感情が湧くのか。人間失格いがいのなにものでもない。 最初から、理念上も、同じ土俵など共にしていなかったのだ。それに気づかなかったのかね。 志のある者とない者の差なのだ。かりそめに相手にするふりをしていただけ。 理想にたいする熱血漢であるぼくは、その分だけ、理想に縁の無い者(極言すれば人間である意味のない者)にたいしては、至高の冷血漢なのだ。 旧き友々(人間たち)へ。 きみたちは、人間が敬われるための根源を忘失して、ただ生きている。 国民を政治家が敬わない感覚をさえ、この点でぼくは了解する。