ぼくがどこからも触発されなければ、栄光なるものほど、ぼくに疎遠で、ぼくが無知・無感覚であるものはない。ぼくはぼくであればよいのだ。 ところが、他が、ぼくが栄光をもとめるように触発した。栄光を、ぼくの名誉問題とした。 

 

 

ぼくは、他との関係において、何ら誇れるものはない。ぼくがそのために価値あるものとじぶんを思うのは、ぼくの世界そのもののみである。この親密さにとっても、栄光というものは疎遠な観念である。栄光は、外の世界にかかわるものである。ぼくの本来的世界は内なる世界である。 そのぼくが同時に栄光への欲求をもつということは、いかに他が無礼であったかということから生じているのだ。 ぼくの名誉にかけて、ぼくは外の世界にたいしても、ぼくの威光が実現されることを欲する。