高田博厚の文章は芸術家の随筆ではあるが、一般に随筆といっても様々な種類の随筆があり、高田の随筆には学者の論文にも優る、「言葉の結晶性」がある。 

 

たとえば、「神」は「人間のイデア」であり、人間を支配する「運命」はもうひとつ別の「力」である、と言いきる、などである。「神」を思念するあまり、世界や人生を支配する力を「神」に結びつけて思惟し、弁神論を展開するような発想は、高田には完全に無縁なものである。彼は彼自身の美の経験と人生の実感にぴったり密接し、乖離しない思想を記すのみである。 

 

 

「高田博厚」のために高田博厚についてこつこつ書くことにする。