罪の問題ひとつとっても、ぼくが言うことは各々の言葉自体をとれば、相互に矛盾対立しているようにみえるだろう。ぼくの書いていることは、理論ではないから当然だ。小学生の教科書として書いているのではないから、レベルを上げて読んでもらわなければならない。 

 

一つの原理から組み立てる理論ではなく、個々の具体的経験に忠実に反省し、その各々の反省が相互に響き合うのに任せている。これが真の体系の精神ではないのか。カントに対してアランは自己の省察態度を、ぼくと同様に特徴づけている。