初再呈示 

 

高田博厚の「美への信仰」はすさまじい。これあったればこその彼である。ロマン・ロランも。 

 これに敵う意識をぼくは自分の経験から得た。

 人生は苛酷であるゆえに不屈によって生きるに価する。

 

 苛酷は手を替え品を替えてある。誰もこの苛酷さから免れない。だから人間は尊厳なのだ。 

 

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悪魔は「外部」にいる。「状況」にいる。これは事実だ。「外部」に吸収される万物・万有はみな「悪魔の傀儡(かいらい)」となり得る。「人間」は悪魔に取り囲まれている。これがぼくの日々の経験だ。これが「創造主」の実体だ。「人間」を嘲弄し破壊することしかしない。精神的妥協ゆえに「幸運」な者は、精々これを拝んでいるがよい。

ロマン・ロラン『ミケランジェロの生涯』からの言葉を引用する(高田博厚訳)。

《意のままに締め殺すこともできる物質力の殺人的な苛酷さ》。《道理のおそるべき破産、潰滅》。

これが現世力と結託した創造主の力の正体だ。この二つの力は表裏一体である。「霊界」なるものもこの間にあって同一本質の媒体領域に過ぎない。魂への一切の顧慮の無い《「因縁」の暴力》である。



 

《死者のごと生くるわれを憐れみたまえ!》《運命(さだめ)も時も、われらには儚なき悦びと定かなる不幸(わざわい)のみを齎らすに》 これがミケランジェロの叫びであった。

このような彼にとって残るのは、《美しさに対する神秘な讃仰》 のみ。これを真の信仰、愛、という。