「三四郎」のなかで表明されている漱石の男女観がまともなので、記しておく。同じ歳どうしの男女の場合、一見女性のほうが上手(うわて)に思える。文明開化以来の女性は同世代の男を舐めた判断をするが、それでも、最も開化した女性よりも、普通の男のほうが真実はずっと上なのである。そのことに女性が気づくには五年程はかかる。その間、女性は見かけで早まった相手を選ぶものなのだ。そういう男女観を漱石は小説のなかで表明している。これはそのまま現在まで真である見解である。あきれるほどに。 

 

 

漱石は、最初、やけに近代女性に肯定的だと思っていたが、やはりしっかりした知性者だ。