なあるほどね、

 

なにが?

 

うん、どうしてこんなこと思いつかなかったんだろうね。どこかで だれかが言っていそうな気がするけどね。 つまり、人間は、みずからの知恵を働かして生きるように、生物としては、わざと、生まれたままの状態では不足しているように造られたと思うんだ。この思いつき、全然模索していたのではなく、いま突然、天から降ってきたんだ。 

 

つまり、生物の進化の頂点として人間は生まれたのではないということね? 

 

そういうこと。知力を発達させるように、生きるにはそのままでは不足している状態に、意図的にさせられてこの地上に生まれたんだ。人間みたいに、そのままでは劣った本能と装備の生物はいないよ。これは自然な生物発達の結果そうなったんじゃない。衣服を調達し、爪もじぶんで切って整えるように、工作的な知恵を働かせることを強制させられているんだ。 

 

 

そうね、その知恵を内面化して、魂もかんがえるようになったのかもしれないわね。 

 

メーヌ・ド・ビランはまさにそうかんがえたんだよ。