世のなかや事実を知ってどうするの? 外に気を散らすだけだよ。その瞬間瞬間、魂は忘れられお留守になる。 現在の世界は、とうに、意識の内転と外転のバランスが振り切れている。こういうときは、二者択一的に、決然と魂の内部に集中すべきである。そこにほんとうの生活がある。いまは意識的にそれを選びとるべき時代であり、よい修練の時代だ。もの言わぬひとびとは、みな、そうしている。だから社会はいまも平穏なのだ。為政者もそれに感謝すべきであって、煽るままに社会がパニックになったら、為政者こそ困るだろう。だから、安心して煽れるのは、煽られないひとびとに依存しているということだ。 

 

すこしはこれで落ち着かないだろうか。ぼくは今年に入って報道にはいっさい触れていないが、人間精神にとってこれはそうとう正しい。 いまこそ、高田さんが戦時中に実践した、「もの言わぬ知性」で生きることが必要だ。人間と社会とは明確に違う本性のものなのだ。