セザール・フランクは交響曲ニ短調だけでなく、オルガン曲をはじめ、室内楽、交響詩など、作品は多岐にわたり、フランスの代表的近代音楽作曲家たちはほとんど皆、彼の弟子筋である。フランス純粋音楽の再建者として、バッハと同じ意味をもつと言い得る。この、深くゆたかな作品群を遺している重要な音楽家(自身はバッハと同様、教会オルガニストとして生活していた)の作品を、なぜ、西欧音楽を洪水のように自国で演奏させてきていると一見思える日本で、これほど演奏させないのか。哲学史では、メーヌ・ド・ビランのような重要な哲学者が日本ではほとんど本格的に研究されないで、その後のフランス哲学が論じられているのと、同じ奇異の念を覚える。 (ワグナー心酔者の妨害なのか。) 

 

 

 

 

きょうはフランクの弦楽四重奏曲ニ長調を聴いた。

 

 

 

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かつて哲学者ガブリエル・マルセルが訪日したとき、列車移動中のマルセルのために日本側が用意し、彼を感動させた録音曲がセザール・フランクのものであった(マルセル自身が自伝のなかで記している)。