振り返って、ああではなく、こうしていればよかっただろう、などと思う。しかしさらに突き詰めて振り返れば、いや、やはり自分の最も大事なこと(もの)のためには、ああしたのは正しかったのだ、と納得するに至る。最初の判断とそれに従った行為は、自分のためには正しかった。人生は賢明なのである。(それが解るとき、人生は孤独であることが解る。) それが解るはずもなく(なぜなら自分の反省にとっても難題なのだから)、横から何だかだ批判するのが、愚かな他人というものなのである。そういう者らは じぶんすら解らず生きているのだから。 

 

 

 

最も大事にすべきものとは、自分の志であり、また、ほんとうに愛するもの(存在)である。  

 

 

 

しかし、その大事なもののために捨てたものも、一時的にせよ選んだり同意したり、期待さえしたのは、ぼくなのだから、礼を言わねばならぬ。

 

 

あの死んだ者らは、すこしは反省したろうか。反省したと思うと心が安らぐ。ぼくが安らぐのに必要なのは、そう思えること、そういう心の状態なのだ。