《この問いが出るか出ないかに――この問いにはいつまでも答えがされないにちがいないが――視線はしだいに仰ぎ見る目になる。一瞬の微光がぱっと光る――春、花、ばら、あかねさす紫雲が、早くも近づく夜を背景にして。思考と作詩の境界がここではっきりする。思考は問題点を、問題を提出することはできる――しかし何か思考的な答えをしたところで、ここでは決してそれでは十分でないであろう。作詩は、現実を創造しながら、全く別の次元からこの問いを克服していく。 

 

  夕べの空にひとつの春が花と咲き出る。     》 

 

 

 

 

ウルリッヒ・ホイサーマン「ヘルダーリン」 101頁