兄弟には関わり合わないこと。それぞれ別の世界をもっている。基本的に、赤の他人なのだ。なのに、兄弟だからと、相手の領域に容喙すると、必然的に、どんな他人相手の場合よりも、血を見ることになる。これは古代からの真理である。兄弟ほど、義理のつき合いであるものはない。その義理の限界を破ると、恐ろしいことになる。 

 

 この点についても、日本伝統はあまりにも人間の真実を無視しようとする。個の世界の神聖性を無視しようとするからである。 

 

 

 兄弟としてのつき合いが疎遠だなどとは全く要らぬ反省である。それが人間の本来の距離だからである。