狂気とは、精神の平衡(バランス)を失うこと、と理解するならば(じっさい、そうだと思う)、現在の世界は、そのような意味でまさに狂った世である。狂気の標本であふれている世であることに気づく。国家から市民生活にいたるまで、「平衡の力」を欠いたまま、ぜがひでもの目的に突進し合っているのは、どんな言い分や根拠を立てていようとも、まさに狂気のさまである。