ぼくには、人間のあり方の両極端を堪能し経験してみようという実験的な欲求があり、機会ある毎にそれを試してきた。すると、周囲のぼんくらどもは、ぼくの普通のあり方は偽りで、ぼくのほんとうの欲求は、隠している反対のものであると、見ぬいた気になるのである。 スケールの小さい者どもの阿呆らしさは、ざっとこんなものである。 

 

きみたちはこういう自惚ればかどもになってはいかんよ。世のほとんどがそういう者たちであるとはいえ。

 

 

つまり、ぼくの意識生活は、ほかとあんまり違うんで、共存しててもしていない。ぼくに、誤解されないように、いちいち彼らにぼくの生き方の本意を釈明せよとでもいうのかね、あほらしい。