世界の文化史に名を留めているような人物でも、その精神の在りようを学びたくなるような人物は、めったにいない。その書いたものを読めば幻滅するような偉人は、多い。世人はこういうものに深遠な内容を感じて有り難がるのであろうか。人生でまだわけのわからない時期は、ぼくだってそうだったかもしれない。 

 

 妙に感じたら、無理して深入りしないですぐに手放すのがよい。そんなもので自分という宝石をけがして何になる。物識りというのはけっして純粋な人間でも秩序ある人間でもないとぼくは思う。

 

 

ぼくはぼくの実体のみで勝負する。

 

 

 

高田博厚の偉さがわかる。自分のみを書いてあの奥ゆきだ。

 

(世情を書くときでも不思議に自分の自我の陰翳が籠っている。)