わかった。

 

何が?

 

人間どうしも、こんなに性格が違うだけでなく反目し合い、国も、言葉が違って、理解が難しく、言語に多大の労力を費やして、それだけで非本来的に精神が疲弊し、動物どうしもほんとうは仲良くできるのに、弱肉強食の宿命に置かれているのは、生きとし生けるものの幸福を創造主が望んでおらず、むしろ対立し合っていることを望んでいるからだってこと。すくなくとも人間に、この世をそういうものだと思わせるために。 

 それでも、人間も動物も、その宿命から独立して愛し合うことがあるのは、それじたい、本来の「魂の生」の姿であると同時に、奇蹟であり、「神」の誕生であるということ。

 

 

そうね、それがじっさいのことなのかもしれないわね。

 

 

そういうふうに創っておいて、ふつうに愛し合えないのを全部人間のせいだと思わせてるんだよ、神話的な罪の話を作って。